へんてこ社労士のときどきブログ

さかべ社会保険労務士事務所オフィシャルブログ

中小企業の経営理念?!

熊本から大分を中心とする九州地方の大地震で、多くの方が不安な気持ちでお過ごしになっていることと思います。


被害の映像を見ると、心が痛みます。次々に起こる地震が早く治まって欲しいと願います。


そして、亡くなった方、被害に遭われた多くの皆様に対しては、心からご冥福とお見舞いを申し上げます。


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今日のテーマに入ります。


平成25年の厚生労働白書の、若者の意識調査を見ると、


新入社員の働く目的は、「楽しい生活をしたい」とする者の割合が、平成12年以降、約25%から38%まで大きく上昇している一方、


「社会のために役立ちたい」とする若者も、平成12年以降約5%から約15%に上昇傾向であり、


「仕事を通じ社会に貢献していきたい」と考える若者の増加として注目されています。


それから、会社を選択する理由は「自分の能力・個性が生かせるから」とする者が約35%で、最も高い割合を占めています。


つまり、最近の新入社員は「楽しく」生活ができ、「社会に役立ち」「自分の能力・個性を生かせる」仕事につけるかどうかを重視する傾向が強まっているようです。


ですから、中小企業は大企業に比べると採用活動で思うような人財を確保することが難しい状況が続いていますが、


従業員を家族のように大切にし、地域社会に貢献するやりがいのある職場である」といった企業の魅力を出し、アピールしていくことは、中小企業にとっては大切なことかもしれません。


つまりそれは、中小企業の「経営理念」に当たるものだと思います。


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ところで、採用で良い人財を確保したら、その「人財力」をさらに高めていくことが大切で、企業の競争力の強化に繋がっていきます。


「人財力」を高めるためには、採用、人財育成、そして能力を発揮させるための「人財育成方針」を策定することが大切です。


そして、「人財育成方針」を策定するためには、しっかりとした「経営理念」が必要だと言われます。


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では、「経営理念」とは、どんなものでしょうか?


様々な考え方や定義がありますが、一例を挙げると、


経営者の視点から見た場合、創業者、歴代の経営者および現社長の経営哲学、価値観、信条等の経営判断の拠り所であり、経営者個人の人生観が反映され、経営手法や製品そのものに影響するものです。


従業員の視点から見ると、行動姿勢、行動指針に繋がるもののことです。従業員として、いかに行動すべきか価値判断をどうすべきかの基準になるため、「経営理念」の浸透と本質的な理解が必要です。


社会的な視点では、「経営理念」は社会への価値提供(存在価値)です。何をもって社会に貢献するのか、そのために単にモノを提供するのではなく、伝えたい思いや文化や価値を示す意思表示のことです。


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では、なぜ「経営理念」が企業にとって必要なのでしょうか?


会社の従業員が少人数のときは、社長の個人的な魅力と指導力と目配りで、会社の価値判断や行動の基準などの同一性が保たれると思います。


しかし、20人から30人を超えてくると、社長ひとりでは目が届かなくなってきます


そのとき「経営理念」が社内に浸透していれば、従業員が業務遂行上ある意思決定を迫られたとき、無意識のうちに自社の「経営理念」に照らして判断できます。


その結果、経営者や管理者の指示・命令が無くても、各自が正しい意思決定ができるとともに「その会社らしさ」を醸成することができるようになります。


社外的には、「経営理念」があると会社のイメージが明確になり、取引先・顧客・提携先との信頼関係が築きやすくなります。考え方の明確な会社は信頼されやすく、外部との関係を強化することも可能だといわれています。


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ここで「経営理念」のイメージが浮かびやすいように、参考として、日本を代表する企業のひとつであるトヨタ自動車株式会社」の「経営理念」を調べてみました。


トヨタ基本理念」

1)内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす


2)各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する


3)クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む


4)様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する


5)労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる


6)グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす


7)開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄をめざす


この「基本理念」のもと「トヨタ行動指針」や「トヨタグローバルビジョン」がつくられているのではないかと思います。


トヨタ自動車株式会社の経営者や従業員は、これを経営判断の拠り所とし、社員の行動の基準とし、社会貢献の意思表示としているのだと思います。


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もしかすると、「小さな会社ではこんなかっこいいもの必要ない」とおっしゃる社長もいらっしゃると思います。


でも、形にはしていなくても、創業以来受け継がれたもの


あるいは一代で築き上げた社長であれば、経営に対する考え行動の仕方お客様と接する態度はきっとあると思います。


それを文章にして、後継者や若い人達に伝えていけばいいのではないかと思います。


そうすれば、


「会社がその事業を通じて実現したいことは何か」が明確になり、


従業員の行動や考え方の判断基準になり、


従業員が「何のために働くのか」が明らかになり、


会社の方向性が定まり、


自社がどういう会社なのかを取引先、顧客等にアピールすることができるようになるのではないかと思います。


きっと意欲的な若者が入社して、社長の「経営理念」を踏襲して会社を成長させてくれるかもしれませんね。


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