「イクボス」ご存知ですか?
台風などの影響で天気が不安定な間に、いつのまにか蝉の声もほとんど聞こえなくなってしまいました。
今は秋の虫の声が少しづつ増えてきているような気がします。
なんとなく秋めいてきました。
ところで、
「イクボス」という言葉を聞いたことがありますか?
不勉強な私は、残念ながら全く知りませんでした。(よくご存じの方、すみません)
栃木県が出した「とちぎイクメン」のパンフレットを見て初めてこの言葉を知り、ちょっとだけ調べてみましたのでご紹介します。
おそらく勘のいい皆様は、この言葉を聞いただけでもう「ピンときた」と思います。
「イクボス」とは、
職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランスを考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果も出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(男性、女性)のことだそうです。
そもそも、男性の従業員や部下の育児参加に理解があり、積極的に支援する経営者や上司のことを指す「イクメン」の派生語だそうですが、その対象は、介護、地域活動、日々の生活等まで段々広がっているようです。
最初は、平成25年2月に群馬県で開催した「ぐんまのイクメン・イクボス養成塾」で、「イクメン」に対応する言葉として「イクボス」が使い始められました。
平成26年3月からは、「特定非営利活動法人ファザーリングジャパン」(後援:内閣府男女共同参画局、厚生労働省、にっぽん子育て応援団)という組織が「イクボスプロジェクト」という活動を行っています。
このプロジェクトでは「イクボス10か条」というのを掲げていますので、ご紹介します。
「イクボス」に求められている条件というのは、
① 理解
部下が、子育て・介護・地域活動などのライフに時間を割くことへ、理解を示していること
② 多様性
ライフに時間を割いている部下を、差別せず、ダイバーシティー(多様)な経営をしていること
③ 知識
ライフのための社内制度(育休制度など)や法律(労基法など)を、知っていること
④ 組織浸透
管轄している組織全体に、ライフを軽視せず積極的に時間を割くことを推奨し広めていること
⑤ 配慮
転勤や単身赴任など、部下のライフに大きく影響を及ぼす人事については、最大限の配慮をしていること
⑥ 業務
育休取得者などが出ても業務が滞らないよう、情報共有チームワーク醸成などの手段を講じていること
⑦ 時間捻出
部下がライフの時間を取りやすいよう、会議や書類の削減、意思決定の迅速化などを進めていること
⑧ 経営目標
ボスの上司や人事部などに対し、社員のライフを重視した経営をするよう、提言していること
⑨ 自らWLB(ワークライフバランス)
ボス自ら、仕事×私生活×社会貢献というワークライフバランスを重視し、楽しんでいること
⑩ 業績達成
組織の長として、職務を全うし、業績やコミットメントを果たしていること
とされています。
一方、「イクボス」が「イクメン」に理解を示して、その活躍を支えると、以下のようなメリットがあるそうです。
1)「人」としての成長(イクメン)
> 言葉の通じない子どもと接することで「高いコミュニケーション力」が身につく
> 限られた時間で育児をこなすことで「タイムマネジメント力」が身につく
> ストレスの溜り易い育児をすることで「ストレスマネジメント力」が身につく
> 家族みんなで育児をすることになるので「チームマネジメント力」が身につく
> 親としての新たな経験が身につくので「企画開発能力」が高まる
2)「企業」としての成長
> 残業をしないという意識や、仕事の優先順位を見極める力がつくので「時間当たりの生産性」が高まる
> 家事育児も経験することで「互いを思いやる風土」が職場に生まれる
3)「日本経済」の成長
> 男性が育児に関わることで「女性活躍の後押し」ができる
> 男性の家事の時間が増えると「第2子の出生率が高くなる」という厚労省のデータ(2011年)がある
4)「子どもの心」の成長
> 男性が積極的な育児をすると、子どもの「知能」「精神」「学術」「社会性」に好影響が出るというデータ(Public Health Agency of Canada 2007)がある
「イクボス」が「育児」だけでなく「介護等」への理解を示し部下を支えることで、やはり、上記と同様のメリットがあると思われます。
「イクボス」については、大手新聞各社やNHKなどでも取り上げられ、また、イクボスプロジェクトでは、イクボス企業同盟等には多くの有名な企業が協賛しているようです。
また、多くの地方自治体や大学などでも、「イクボス宣言」をしています。
私は不勉強でよく知らなかったのですが、「イクボス」は浸透しつつある言葉だったのですね。
今後は、実際に、社会、組織、および人が、この「言葉に合うように変わっていく」ことが求められているのかもしれません。