行政指導、行政処分・・・あまり聞きたくないですよね
少し前まで、朝からアブラゼミやミンミンゼミがうるさいほど鳴いていましたが、
今朝のように曇天だと、秋の虫の鳴き声が耳に入るようになってきました。コオロギなのか、キリギリスなのかな・・・
今日の話題は、労働法令の「法的措置」です。
事業主や労働者等が労働法の法違反を行った場合には、多種の法的措置があります。
法的措置なんて触れたくない言葉ですが、人を雇用する事業主等の基礎知識として簡単に整理しておきます。
法的措置は、法規制の性質に応じて「行政的措置」「刑事法的措置」「民事法的措置」「社会的措置」等があります。
「行政的措置」
1)行政指導
行政官が事業主等に対して、その法違反の是正を助言・指導・勧告をすることをいいます。法的強制力がないため、行政指導に従わなくても法律効果は生じません。
例えば、パート労働法、男女機会均等法、および個別紛争解決法などにも定められています。
2)行政処分
行政官が法違反を行った事業主等に対して、その是正を命じることをいいます。法的拘束力を有するため、従わなかった場合は罰則の適用がある場合があります。
例えば、労働安全衛生法、労審法、および労働組合法などにも定められています。
行政処分に不服のある事業主等は、上級官庁・行政委員会に対して不服申し立てをすることができます。
「刑事法的措置」
罰則規定のある法違反に対しては、行政官庁が刑事訴訟法に基づく処罰を自ら、または告訴・告発を受けて行う場合があります。
これは行政指導のような法違反の救済でなく、刑罰によって制裁を加えるものです。
「民事法的措置」
法違反の回復(損害賠償等)を図る措置が民事法的措置であり、民事訴訟・調停制度によります。
「社会的措置」
法違反をした企業名等を行政官庁が公表する制度が法定されています。社会的制裁のひとつです。
また、行政官庁が重大な刑事処分を行った場合は、その内容をマスコミに発表することがあり、これも社会的制裁です。
例えば、障害者法、男女雇用機会均等法、および職業安定法などで定められています。
様々な労働法令を守ってもらうために、指導、処分、制裁等、の法的措置を定めていますが、
これは労働者が安心して働ける職場を作り、企業の更なる発展を目指しているものです。
ですから、このようなことに縁のない良好な経営を、事業主の皆様は望んでいると思います。
企業の発展は、適正な労務管理の下支えがあって、はじめて実現が可能になると思います。
適正を欠いた労務管理により企業活力を低下させるのではなく、
法令を順守し、労働者が働きやすい適正な労務管理により企業活力を向上させることに力をかけることのほうが、
短期的には手間がかかりますが、企業経営にとって大切なことだと思います。