へんてこ社労士のときどきブログ

さかべ社会保険労務士事務所オフィシャルブログ

労災保険法は労使とも助けます

お題とは異なりますが・・・


昨日の報道で、「共通番号(マイナンバー)の利用範囲を拡大する改正共通番号制度関連法」が衆院で可決されたと報じられました。


手短に言えば、マイナンバーと金融機関の預金口座を結びつける、ということです。それによって個人資産を正確に把握でき、公平な徴税につながるとのことです。


また、民間企業が個人情報を「ビッグデータ」として活用できるが、個人情報は特定できないよう加工することを定めた「改正個人情報保護法」も成立しました。


これら、当初から政府が構想している、マイナンバー制の展開の一環です。ねんきん事務所の情報漏えい問題で年金分野での活用は延期になりましたが、制度の導入と展開は着々と進んでいるようです。


これからもマイナンバーの勉強会や研修等があるので、新たな情報だと思ったらこのブログでも追加していくつもりです。


sakabesharoushi.hatenadiary.jp


本題に戻って、


労働者災害補償保険法」(以下、労災保険法)という法律は耳にしたことがあると思います。


労働者の業務上の災害は、


使用者が過失の有無に関わらず、当然に使用者は一定額を補償しまければならないということが、


「労働 基準法」の使用者の災害補償責任として規定されています。


ですが、もし使用者に賠償能力がないと、被災労働者やその遺族は救済されないままになってしまうことになります。

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そこで、国が運営する労災保険制度に、義務として使用者に加入させる制度をつくり、万が一、労災の事故が発生した場合でも、被災労働者やその遺族も確実に補償されるようにしたわけです。


そして「労災保険法」等で「労働基準法」に規定される災害補償に相当する給付が行われる場合には、


使用者は、補償の責を免れることとなっています。


労災保険法」では、原則、一人でも労働者を使用すれば、強制適用(強制加入)となり、保険料を負担しなければならないことになっていますが、


万が一の事故を想定すれば加入するメリットは大きいと思います。


また「労災保険法」では、雇用形態を問わず原則すべての従業員に(正社員、日雇、パート、アルバイト等)労災保険が適用されます。



それから「労災保険法」では通勤災害にも保険給付を行うことができます。


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もともと通勤災害は健康保険等によってカバーされていましたが、昭和48年の法改正により、「労災保険法」の対象に加えられました。


でも実際には業務災害に準じた保護ということで少し違いがあります(説明は省略しますが)。



ところで「業務災害」とはどんな事故なのでしょうか?


一般的に業務が原因となって起きた負傷・疾病・障害・死亡をいいますが、


「業務起因性」(業務と負傷・疾病等との相当因果関係)や「業務遂行性」事業主の支配下にあることが原因で起きた災害)等を実態から判断し、


「労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあることに通常伴う危険が現実化したために起きた災害」かどうかを判定します。(ちょっと難しい表現ですが)


判断が難しい事例もあり、裁判で争われた事件もあります。


でも実際には労災と分かる事例が多いと思いますし、事業場で業務をしていた時の事故の場合は、


人身の保護を最優先に考えて、「労災隠し」などという疑いなどかけられぬよう、


誠実に「労災 保険法」で対応するようにしましょう。