へんてこ社労士のときどきブログ

さかべ社会保険労務士事務所オフィシャルブログ

労働者派遣法改正案がほぼ決まりました

昨日から今朝までの雨は凄かったです。経験したことがないくらいです。


地域によるとは思いますが・・・被害に遭われた方は早急に復旧することを願っております。


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ところで、昨年から話題になっていた「労働者派遣法」の改正案が昨日(平成27年9月9日)の本会議で参議院本会議で採決されました。


今週中にも衆議院で可決されるようです。もともと9月1日から施行予定でしたが、9月30日施行に変更されるようです。


今、安全保障関連法案、消費税の軽減税率やマイナンバーなど、ニュースの話題が多くてあまり目立ちませんが、


この法改正は、多くの派遣労働者だけでなく派遣元や派遣先にも大きな影響を与えるのではないかと思います。


半年ほど前は、派遣法改正についての話題やご質問がたくさんありましたが、国会での審議延長が続き、忘れつつある状態での採決でした。


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この見直しによって、これまで届出制の特定労働者派遣事業と、許可制の一般労働者派遣事業がありましたが、すべて許可制になります。


許可制の派遣元事業者になるには、資産、事業所条件、福祉や教育訓練能力などの条件が厳しいので、経過措置は設けますが、小規模の派遣元事業者はかなり減ってしまうかもしれません。


また、これまでは26業務については派遣期間の制限はなく、26業務以外の業務では原則1年が上限(過半数組合への意見聴取で3年まで延長可だったのですが、


同一の組織単位における上限は3年となり、


派遣元は3年に達する派遣労働者に対し、派遣先への直接雇用の依頼等をする雇用安定措置を講じなければならないことになります。


でも実際は、派遣元は派遣先に依頼すればよく、派遣先は直接雇用を受け入れることを断ることは可能です。


また派遣先では、同一の事業所で継続した派遣労働者の受入れを原則3年を上限とします。


しかし、過半数労働組合等への意見聴取をすれば、それ以上の延長は可能になります。


もし過半数労働組合が反対意見を表明した場合には、対応方針を説明する等、適正な意見聴取の手続きをしなけれなばなりません。


ただし、無期雇用の派遣労働者等は、期間制限の例外になります。


このただし書きによって、派遣労働する人を3年ごとに交代すれば、派遣契約での業務は安定してずっと継続されることが可能になります。


そもそも派遣労働は臨時的、一時的であったものという原則が覆されてしまい、


また派遣社員派遣社員のままで、正社員化が難しくなるのではないか、というのが懸念されているところです。


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それから、派遣元は派遣労働者の均衡待遇の確保の説明義務が追加され、


派遣先も派遣労働者に対し、労働者の賃金の情報提供、教育訓練、福利厚生施設の利用に関する配慮義務を課しています。


さらに派遣元に対し、計画的な教育訓練やキャリア・コンサルティングを義務付け、毎年、厚生労働省に報告する義務などがあり、派遣先に向けて、派遣労働者の能力に関する情報提供することを努力義務としています。


この改正によって、派遣労働者労働環境の改善がされるのかどうか、正規雇用との格差是正につながっていくのかどうか、一体どうなるのでしょうか。