労働契約申込みみなし制度って何?
「労働契約申込みみなし制度」は、平成24年改正法に規定され、平成27年10月から施行されます。
どんな法律かというと、
派遣先が「違法派遣」を受け入れている場合、
違法状態が発生した時点で、
派遣先が派遣労働者に対して、
派遣元と同一の労働条件を内容とする
「労働契約の申込みをしたとみなす」制度です。
このみなされた申込みに対し「派遣労働者が承諾の意思表示した時点」で、
「派遣先と派遣労働者間の労働契約が成立する」ことになります。
ごく簡単に言うと、派遣先が違法状態を知っていて派遣社員を受け入れると、派遣先が派遣社員を正社員化しなければならなくなる、ということです。
違法状態とは、以下の4つの場合が対象になります。
1)派遣労働者を禁止業務(交通誘導、港湾の倉庫の荷役、建設の現場作業等)に従事させた場合
2)無許可の派遣元から労働者派遣を受け入れた場合
3)派遣受入期間の制限に違反して、労働者派遣を受け入れた場合
4)法の規定を適用を免れる目的で、派遣以外の名目で契約を締結し、当該契約に法定の事項を定めずに、労働者派遣を受け入れた場合(偽装請負の場合)
合法で普通に労働者派遣を受入れている企業は特に問題はありません。
「違法状態」の適用が一番多いのではないかと考えられていたのが、
派遣の期間制限が無い「専門26業務」として派遣されていて、
お茶出し、コピー取りや簡単な作業ばかりで一般事務などで、ずっと派遣労働者として働いている事例と言われています。
つまり専門性を活かしておらず、一般派遣に該当しており、1年更新で最長3年までしか働かせることはできません。
10月に「労働契約申込みみなし制度」が施行されれば、このような派遣労働者は「違法状態」なので正社員化されると考えられていました。
sakabesharoushi.hatenadiary.jp
しかし、今回の「労働者派遣法改正」が10月から施行されることが決まり、「専門26業務」が廃止され、派遣元も全て許可制とすることになったため、
「違法状態」で「専門26業務」として長期間、派遣労働者として働いていた人の正社員化は閉ざされてしまいました。
「年越し派遣村」「派遣切り」などが話題になっていたころ、民主党政権で成立した法律でしたが、
自民党政権が「労働者派遣法改正」を10月から「駆け込み施行」させたことによって、
「労働契約申込みみなし制度」が骨抜きになったと言われるのはこのためです。
「労働契約申込みみなし制度」がそのまま施行されたら、
企業がトラブル回避のために、派遣労働者の受け入れを止め、大量の派遣労働者が失業し、派遣業界が打撃を受けるだけでなく、派遣先企業の経営にも支障が生じ混乱する。
という厚生労働省の危機感があったようですが・・・。