へんてこ社労士のときどきブログ

さかべ社会保険労務士事務所オフィシャルブログ

女性の賃金は過去最高ですが・・・

お花見の季節。


お天気が不安定で、朝夕は冷えますね。


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さて、ここから今日の話題です。


「賃金構造統計基本統計調査」という国の調査をご存知ですか?


これは、厚生労働省が統計法に基づいて、現金給与、超過労働給与、賞与等毎年7月に調査するものです。


平成27年度の調査結果が、2月18日に公表されましたので、その内容をごく簡単にご紹介します。


1)一般労働者の賃金の推移


男性の平均賃金は33万5,100円で前年より、1.7%増加しました。


そして、女性は24万2,000円で1.7%増加し、


過去最高の賃金になっています。


如何ですか?本当に実感がありますか?


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2)性別による一般労働者の賃金


男性も女性も50歳から54歳が賃金のピークになりますが、そのときの男女の賃金の格差は16万3,300円もあります。


この調査によると入社時には男女の賃金はほとんど差がありませんが、その後、女性の賃金の上昇が少ないことが分かります。


男女格差は小さくなったとは言われていますが、調査結果には歴然とした差がみられます。


3)学歴別にみた一般労働者の賃金


男性では、大学・大学院卒の賃金のピーク(50~54歳)が54万4,000円で、
高校卒34万8,300円で、その差は19万5,700円です。


一方、女性は、大学・大学院卒の賃金ピーク時(65~69歳)で42万7,100円で、
高校卒のピークが22万5,000円で、その差は20万2,100円になっています。


男女いずれも、入社後大学・大学院卒の賃金は急カーブで上がりますが、


高校卒は入社後あまり上昇しないようです。


4)企業規模別にみた一般労働者の賃金


大企業、中企業および小企業の賃金とも、男女とも前年を上回っています。


しかし、男性の賃金は、ピーク時で大企業が51万4,800円、中企業が40万6,700円、小企業は33万2,500円で企業の大きさによる格差は明確にあります。


一方、女性のピーク時の賃金は、大企業が30万7,300円、中企業が26万8,900円、小企業は23万2,900円で、


企業の規模による差はありますが、男性の賃金に比べるとその差は小さくなっています。


これは、企業の規模に関わらず


女性の賃金が、入社以降はあまり上昇しないことが理由だと思われます。


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5)雇用形態別の賃金


男女計の正社員の賃金は32万1,100円で、正社員以外では20万5,100円となっており、
正社員と正社員以外の労働者の間に大きな格差があることがわかります。


年齢階級別にみると、正社員の場合は入社後、年齢とともに安定して賃金は上昇しますが、


正社員以外の労働者は、男女とも、年齢が高くなっても賃金の上昇はあまりみられないことがわかります。


6)産業別にみた賃金


金融業、保険業、教育、学習支援業の賃金が男女とも高く


一方、宿泊業、飲食サービス業の賃金は低い傾向にあります。


厳しい業界はいつも変わりません。


7)短時間労働者の賃金


短時間労働者の賃金は、男性が1,133円/時間(前年比1.2%増)、女性が1,032円/時間(前年比2.0%増)と、いずれも過去最高になっています。


しかし、年齢階級別でみると30歳以降はあまり賃金単価が上昇しないことがわかります。


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如何でしょうか?


労働者全体の賃金は「前年より上昇」し、


女性や短時間労働者は「過去最高の賃金」になったという調査結果になっていますが、実感はあるでしょうか?


一方、男女、学歴、産業別、正規/非正規による格差は、年齢を重ねるにつれてより大きくなっていくことも調査結果から分かります。


大企業に勤める大卒の男性正規社員は、年齢が上がるにつれて賃金は安定して大きく上昇する傾向ですが、


それ以外の労働者は、年齢とともに賃金が安定して上昇する傾向は少ないようです。


多くの労働者が、将来の人生設計(結婚、出産、住居、育児、教育、介護など)を描くことが難しい原因がここにもあるように思いますが、如何でしょうか?


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