経営者も人財不足ですか?!
今、新入社員や人事異動で、慌ただしい職場も多いと思います。
4月になると、「お花見」どころではないのかなあ。
さて本題に入ります。
人口減少や産業構造の問題などから、多くの分野で労働力の確保が難しくなっています。
しかし、不足しているのは労働者に限ったことではないようです。
中小企業の経営者も・・・
少し前に、ある中小企業診断士の方から、
税理士等とご一緒に「中小企業の事業継承問題」について取り組んでいるお話を伺いました。
「中小企業の事業継承問題」というのは、簡単に言うと「中小企業の経営者の後継者が見つからない」ということです。
少子高齢化が急速に進むなか、中小企業の経営者の平均年齢は年々上昇し、60歳を超える経営者が全体の51.8%になっています。(帝国データバンク「全国社長分析」2012年)
そして、中小企業の経営者が引退する年齢は現在70歳前後になっています。(中小企業庁委託「中小企業の事業継承に関するアンケート調査」2012年11月)
つまり、あと数年で中小企業の約半分の経営者の年齢が70歳になり、「事業継承問題」に直面することが予想されているのです。
しかし、実際は中小企業の約半分弱しか後継者を決めていない可能性があります(三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「事業継承アンケート調査2005年12月)
中小企業の場合、一般に会社の所有と経営が十分に分離されておらず、経営者に株式の過半が集中していることが多く、
しかし、少子化で子供がいなかったり、子供が事業を継ぐ意思がなかったり、十分な経営能力がある親族がいなかったりして、「親族への世襲」が困難な場合が増えています。
そのような事情から、「親族以外」の役員や従業員、また社外の第三者へ継承する事業引継ぎに関心が高まっています。
でも、それはそんなに簡単ではないようです。例えば・・・
先代の株式を持つオーナー社長が、優秀な役職員を選んで「代表取締役社長」を譲っただけでは、株式を持たず議決権の無い「雇われサラリーマン社長」になってしまいます。
ですから、先代社長は「自身の持株も一緒に譲る」必要が出てきますが、通常の場合、役職員は自社を買収できるほどの資金は持っておらず、また金融機関から買収資金を調達できるあてもありません。
そして先代社長が亡くなり、会社の株が何人かの親族に分割相続されてしまうと、相続人達はその会社に何らの思い入れや愛着もなく意見が一致しない可能性もあり、経営が破たんすることもあります。
また、先代オーナー社長が金融機関から「個人保証の借入金」をしていた場合、後継者にも「個人保証」を要請します。しかし、負担が重く受けられず、金融機関との関係を維持することが難しくなることもあります。
そして、こうした経緯を見ていた他の社員が次期経営者を目指さなくなることも考えられます。
また、中小企業の場合「計画的に後継者を育成する」ことも難しいと思われます。
しかしながら、中小企業の9割以上の経営者は、自分の後も事業を他者に引き継ぎたいと考えています。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「事業継承」アンケート調査」2005年12月)
近年、日本の企業の大多数を占めている中小企業は減少傾向であり、
地域経済を疲弊させてしまうだけでなく、
日本経済の土台になる高い技術力や高い商品サービスを失っていく可能性があります。
これらを円滑に次世代に引き継いでいくことは、重要なことだと思います。
平成27年度には、全国47都道府県で、経済産業省所管の独立行政法人中小企業基盤整備機構が、「事業引継ぎ支援センター」を開設しました。
事業継承融資制度により親族以外の後継者への自社株式の引継ぎに向けた対応、
さらに個人保証への対応についても国が検討しています。
また、税理士、公認会計士、金融機関や様々なコンサルタント等も親身に相談に対応しているそうです。
日本の大切な財産である多くの優良な中小企業は、是非、将来に渡って元気で経営を続けていって欲しいと思います。