へんてこ社労士のときどきブログ

さかべ社会保険労務士事務所オフィシャルブログ

残業を減らすヒント

秋は美味しいものが沢山ありますが、


特に秋刀魚(サンマ)は、秋になると話題になりますよね。


でも残念ながら、今年秋のサンマは不漁で高根の花になるかもしれません。


ですが、サンマと同じように「秋が旬」と言われているイワシが、今年は獲れているそうですね。


イワシは少し苦味があって大人の味ですが、塩焼、蒲焼、梅煮、マリネなど、お酒やご飯がすすむ、美味しい料理が沢山ありますよね。


いいですねえ。


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少し前のことですが、8月に残業に関する厚生労働省の報告の公表が2つありましたのでご紹介します。


「平成28年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果」が平成29年8月9日に公表されました。


それによると、平成28年4月から平成29年3月までの1年間で、


時間外労働の割増賃金を支払っていない1,349もの企業が、


100万円以上の割増賃金を、さかのぼって支払うよう指導されました。


そのうち184企業では、1,000万以上の割増賃金を支払うよう指導されました。


全体で1企業当たり平均943万円、労働者1人当たり13万円もの割増賃金を支払うことになりました。


大きな企業はもとより、中小企業にとっては、特に大きな影響があったと思います。


国の施策や社会の変化などの効果なのか、10年前に比べれば、指導された企業数、対象労働者数、是正支払額とも大きく減少しているようですが、


ここ数年は、指導された企業数や是正支払額は大きく変わらず、なかなか違法な残業は減らすことは難しいようです。


違法な残業減らせない現実的な理由は企業側や労働者側ともにあり


また、業務上の慣行や環境、人材不足や労働者の生活なども影響し、一筋縄では解決しないのではないかと思います。


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この残業対策について、多少ですが、参考になるかもしれない調査報告が翌日ありました。


先ほどの「是正結果の公表」の翌日(8月10日)、厚生労働省から残業に関する調査研究の報告書が公表されました。


それは「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業報告書」です。


これは平成27年7月24日に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の中で、


過労死等の発生原因の実態解明のための調査研究が重要との認識から、平成27年より調査研究を実施しているものです。


多くの過労死等が発生していると指摘のある業界である、


「自動車運転従事者」「教職員」「IT産業関係者」「外食産業関係者」「医療関係者」等の職種・業種をより掘り下げた調査研究を行い、


また、併せて「労働時間把握の正確性」「残業手当の支給の有無」「残業を行う場合の手続」などが、
「平均的な1週間当たりの残業時間」「年次有給休暇の取得日数」「メンタルヘルスの状況」にどのような影響を及ぼすか等を分析しています。


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その調査結果のひとつとして、興味深いことが示唆されています。


それは「労働時間を把握すること」「残業手当を全額支給すること」及び「所属長が残業を承認すること」が、


「残業時間の減少」「年次有給休暇の取得日数の増加」「メンタルヘルスの状態を良好化」に資するということが数字で出ていることです。


つまり、そこから推察できることは、


事業主や所属長が「残業を把握も考慮せず、また見ぬふりをして、残業手当もできるだけ支払わないようにする」ことが、


結果として残業が増やし、また違法残業代が増えてしまうことを示唆しており、


一方、事業主や所属長が「労働時間を正確に把握し、承認し、残業手当を全額しっかりと支払う」ことで、残業時間が減り、当然違法残業は無くなることを示唆しているように思えます。


また、従業員のメンタルヘルス状態が良好化し、職場の環境が良化し、業績も向上する可能性があります。


少し楽観的で、シンプルに考えて過ぎているとは思いますが、


残業時間や違法残業を減らす方法のひとつのヒントだと思います。


企業としては従業員の残業時間についてしっかり管理し、


必要な残業についてはしっかり承認し


割増賃金を全額しっかり支払う方が、


事業主、所属長や職場にとっても好ましい結果
になるように思います。


如何でしょうか?


これからも、これらの調査は各職種や業種ごとに調査研究が進むと思いますので、


事業主の皆様も従業員の皆様も興味を持って注目するとよいのではないかと思います。



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