へんてこ社労士のときどきブログ

さかべ社会保険労務士事務所オフィシャルブログ

人生100年時代。夢は何度でも

新しい年になりました。


今年も良い年になるといいですね。


程よい時間がありますので、久々にこのブログを書きたいと思います。


今年もよろしくお願いします。


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さて、本題に入ります。


カリフォルニア大学バークレー校等の研究では、
「日本では、平成19年生まれの子供の半数が107歳より長く生きる」と推計されたそうです。


まだまだ超長寿社会になる可能性があります。昔の人の2倍の人生。今の若者は長いすごく人生になりますね。いいことだと思います。


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でも「人生100年時代」では、安定した生活を続け、豊かな人生を送るためには「定年まで勤めて、年金で隠居生活」という単線型の人生では難しくなると思います。


おそらく何度か「人生の再設計と再スタート」をすることが必要になると思います。


また、長い間生活を支えるために、共働きの家族が増えて「家族の在り方」はもっと変化すると考えられます。


さらに、家庭の所得や教育環境の差で人生のスタートラインでつまずくと、100年の間に、その所得や教育の格差は埋まらないばかりか、格差がどんどん広がってしまう可能性もあります。


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例えば「世帯収入(税込年収)と学力の関係(平成25年度文部科学省委託調査研究より)」の調査結果を見ると、
「所得の高い家庭の子供」のほうが試験の正答率が高い傾向があります。
「所得が最も低いグループ(年収200万円未満世帯)」と「最も高いグループ(年収1500万円以上世帯)」では、正答率に20ポイント以上の差が出ています。


さらに、アフリカ系アメリカ人の3、4歳の子供を40年間追跡調査をした「ペリー就学前計画」という研究結果によると、「幼児教育プログラムを実施したグループ」と「実施しなかったグループ」では「高校卒業者比率」「年間所得2万ドル以上」「生活保護受給者率」などで大きな差が出ています。


日本の進学率については「所得別の大学進学率(文部科学省科学研究ひ基盤「2012年高卒者保護者調査」)」の結果をみると、「所得の低い世帯ほど、大学進学率が低い傾向」にあります。


また、生涯賃金については「学歴別の生涯賃金差((独)労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2016」)」を見ると、大学卒と高校卒では、生涯賃金で7,500万円もの差が出るという結果になっています。


やはり、超長寿社会に向けて、みんなが同じスタートラインに立てることは重要だと思います。


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では「人生の再設計と再スタート」のための「学び直し」についてはどうでしょうか?


厚生労働省の「平成28年度能力開発基本調査」によると、
「学び直し」について正社員、正社員以外とも、7割強が問題があり、その理由として「仕事が忙しくて学び直しの余裕がない」、「費用がかかり過ぎる」「家事・育児が忙しくて学び直しの余裕がない」が最も多くなっています。


また、厚生労働省の「就業条件総合調査報告」によると、
「民間企業における一人当たりの教育訓練費」は平成2年代以降漸減傾向であり、人の教育への投資が減りつつあり、将来への不安が懸念されます。


文部科学省の委託事業「社会人の大学等における学び直しの実態把握に関する調査研究」によると、
企業が従業員の大学等での就学を認めていない理由として「本業に支障をきたすため」「教育内容が実践的でなく現在の業務に生かせないため」となっています。
企業の要望にも応えられるような「多様な教育プログラム」が必要なのかもしれません。


社会人の「学び直し」については、教育環境が整っておらず、以前よりも悪くなっているようにも見えます。


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そのような背景のもと、政府では「人生100年時代構想会議」を平成29年9月に設置して、「国の政策のグランドデザイン」を検討しているようです。
この中で出てくる「人づくり革命」という言葉は、テレビや新聞等で見聞きしたことがある方もいるではないでしょうか?


平成29年12月19日にその「中間報告」がありました。


主な項目として「幼児教育の無償化」「待機児童の解消」「高等教育の無償化」「私立高等教育の実質無償化」「保育・介護人材の処遇改善」についての提案が示されています。


また、その財源についての検討も含まれています。


さらに「リカレント(学び直し)教育」「大学改革や大学教育の質の向上」についてはこれからで、方向性のみ示しています。


そして、平成30年の夏には基本構想を打ち出すことになっています。


若者から高齢者まで、元気に活躍し続けられる社会をつくるために、
幼児教育から高等教育、更には社会人の学び直しまで、質の高い教育が提供できる仕組みを提案することができるでしょうか?


また、現在、高齢者向けの給付が中心となっている社会保障制度を、子育て世代や子供たちにも向けて、全世代型へと改革できるでしょうか?


超長寿社会は、確実にやってきます。


この中間報告に記載されている「誰にでチャンスがあふれる国」「何度でも夢を描ける国」に向けた提案を期待しています。


http://sakabesharoushi.com