これから働き始める人へ
昨日車で出かけたら、いつも以上にパトカーや白バイを見かけました。
春の全国交通安全運動が4月10日から16日だそうです。
気を引き締めて安全運転しないと。
では、今日の話題です。
社会に出て働き始めた人は、意欲をもって前向きに仕事に取り組んでいる方が多いと思います。
でも・・・就職後3年以内に会社を辞めてしまう割合は、中学卒業者で7割、高校卒業者で5割、大学卒業者で3割、
いわゆる「753現象」があると一般的に言われています。
辞めてしまう原因はいろいろとあるのでしょうが、「働くときのルールや制度を十分に理解していない」ことも理由のひとつだと思います。
今日の話題は「働くルール」という基礎的な内容にします。
ベテランの皆さまにとっては「当たり前のこと」ばかりだと思いますが、我慢してお付き合いください。
会社で働くときは、会社と労働者が「働くこと」について「契約」を結ぶことから始まります。
労働者は「働く」こと、会社は働いたことに対して「賃金を支払う」という「労働契約」です。
会社が労働者を採用するときは、賃金、労働時間、場所や業務内容などの労働条件を伝えることが義務づけられています。
この伝える文書のことを「労働条件通知書」といいます。会社によって呼び方や書き方が異なることはありますが、労働条件が記載されている文書です。
ここに書かれている労働条件について、しっかりチェックしてください。
会社と労働者が「労働契約」を結べば、どんな労働条件でもよいという訳ではありません。
例えば「24時間休憩無しで働く」などの条件は、いけないことは明らかだと思います。
「労働契約」の内容については「就業規則」などのルールを守らければいけませんし、
「就業規則」をつくるときは「労働基準法」「労働契約法」などの法律を守らなければいけません。
つまり、「労働契約」に書かれている労働条件は、
「労働基準法」や「労働契約法」など各種の労働関係の法律によって、一定の規制を受けていることになります。
ところで、労働関連の法律の中心である「労働基準法」とは、どんな法律でしょうか?
会社と労働者が共に守らなくてはならない法律として、労働者が劣悪な労働条件で働くことがないように労働者を保護することを目的としています。
この法律で定められているルールは最低基準なので、就業規則や労働契約などは、それ以上の条件にしなければいけません。
また「労働契約法」というのは、
会社と労働者の間で労働条件に関するトラブルが増加してきたことを受けて、平成20年にできた法律で、
労働条件のトラブルを未然に防止するために、「労働基準法」より詳しく労働契約のルールが定められています。
会社で決めている「就業規則」とは、
10人以上の労働者を雇っている場合に作成する義務があり、個々の会社が定めている働くときのルールです。
労働時間や賃金などだけでなく、セクハラ、パワハラなどの服務規律なども決められていることがあります。
仕事をするときは、会社も労働者も、法律、就業規則、および労働契約をしっかり守らなければいけないことになっています。
そして、「働くルール」が守られることよって職場環境は良くなり、業績にも好影響があると思います。
一方、俗に「ブラック企業」と呼ばれている会社は、このような守るべき「働くルール」が機能していない会社です。
このような会社は、社員の定着率が低いことが多いので、慢性的に人手不足の状態の場合が多いと思います。
ですから、頻繁に求人し、求人広告には良いことしか書かれていない場合があります。
もし就職して何かおかしいと思ったら、できるだけ早めに周囲の人や専門家に相談したほうがよいと思います。
「働くルール」の主なチェックポイントを挙げると、
1)労働時間
労働基準法では、「法定労働時間」は1日に8時間、1週間に40時間を超えて働かせてはならないと定められています。
この時間を超えて働かせる場合には、「36協定」という労使協定を結び、「割増賃金」を支払う必要があります。
そして「割増賃金」を通常の賃金の何割増にするかの最低基準(25%など)も法律で定められています。
もし労働時間がしっかり管理されていなかったり、「割増賃金」が支払われていない場合は注意が必要です。
2)休憩
労働基準法では、労働時間が1日6時間を超えるときは45分以上、1日8時間を超えるときには60分以上の休憩を与えなければいけないことになています。
3)休日
休日は1週間に1日、または4週間に4日与えなくてはならないことになっています。
これを「法定休日」といい、「法定休日」働いたときには「割増賃金」が発生します。
4)労働保険、社会保険
労災保険は、1人でも労働者(パート、アルバイトでも)がいれば加入義務があります。
雇用保険も1人以上労働者(日雇い、短期雇用でも)がいれば加入する必要があります。
働いている事業所が「法人」だったり、雇用されている人が5人以上であれば、原則として「健康保険」や「厚生年金保険」に加入する必要があります。
加入条件の詳細については、事業所の条件や労働者の労働時間・日数によって多少異なりますが、法律をチェックしてみてください。
5)セクハラ、パワハラ
守るべきルールが明確になっていない場合は、要注意だと思います。
他にもチェックすべきポイントはありますが、主なものだけに絞ってみました。
でも、チェックすることばかりに過敏になりすぎると、上司や先輩方とギクシャクしたり、肝心の仕事に手がつかなくなったりしてしまいます。
大切なことは、働き始めた皆さんがいきいきと前向きに働くことができる職場かどうかだと思います。
働きやすいと感じる職場だったら、「働くルール」がしっかり機能していると思います。
ですから、ときには困難なことや苦しいこともあり仕事が大変なこともあると思いますが、
まず、仕事をしっかり覚えて一生懸命に真剣に取り組んでみてください。
そして、もし仕事や職場での苦しみや悩みが理不尽に重いときは、遠慮せずに周囲の人や専門家にご相談してください。