へんてこ社労士のときどきブログ

さかべ社会保険労務士事務所オフィシャルブログ

働き過ぎやストレスに関する現状

秋分の日。


連休がまだ続く方、それから今日が連休最終日の方もいらっしゃると思います。


そんなシルバーウィークに、敢えてちょっと重い話題について書こうと思います。


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日本人の働き過ぎやストレス等によって起こる様々な問題の現状について、


様々な統計調査データからわかる「顕在化している現象」のみを挙げると以下のようなことがあります。


【労働時間等の現状】

1人当たりの年間総労働時間は減少傾向ですが、これは、短時間労働者の割合によるものと考えられます。
平均して約2,000時間程度で高止まりしています。(厚生労働省「毎月勤労統計調査」)


平成26年の週60時間以上の就業者は566万人もいます。(総務省労働力調査」)


年次有給休暇の取得率は5割を下回る水準で推移しています。(厚生労働省「就労条件総合調査」)


正社員の約16%が年次有給休暇は1日も取得していません。(独立行政法人労働政策研究・研修機構年次有給休暇の取得に関する調査」)


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【職場におけるメンタルヘルス対策の現状】

仕事や職業生活等で、強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者は、平成25年は52.3%と半数を超えています。 (厚生労働省「平成25年労働安全衛生調査」)


強い不安、悩み、ストレス等の内容は、「仕事の質・量」、「仕事の失敗」および「対人関係(セクハラ・パワハラ等)」となっています。(厚生労働省「平成25年労働安全衛生調査」)


【就業者の脳血管疾患、心疾患等の発生状況】

就業者の脳血管疾患、心疾患、大動脈瘤および解離による死亡数は減少傾向で推移し、平成22年で3万人余りになっています。(厚生労働省「人口動態職業産業別統計」)


産業別では、林業、卸小売業、製造業、建設業およびサービス業で、脳血管疾患、心疾患、大動脈瘤および解離による死亡数が多くなっています。(厚生労働省「人口動態職業産業別統計」)


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【自殺の現状】


自殺者数は平成10年以降14年間連続して3万人を超えていましたが、平成22年以後減少し、平成26年は2万5千人余りとなっています。(警察庁「自殺統計」)


被雇用者の自殺者数は、減少傾向で、平成26年は7,164人でした。(警察庁「自殺統計」)



自殺の原因・動機は、「仕事疲れ」「職場の人間関係」「仕事の失敗」「職業環境の変化」となっています。(警察庁「自殺統計」)


【脳・心疾患および精神障害に係る労災補償等の状況】


業務における過重な負荷による脳血管疾患で労災支給決定された件数は、平成23年度以降300件を超えて推移しています。そのうち死亡に係る件数は、100件を超えています。(厚生労働省「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」)


業種別には道路貨物運送業が最も多く、職種別でも自動車運転従事者が最も多く、40歳以上で多くなっています。(厚生労働省「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」)


業務における強い心理的負荷による精神障害を発病したとして労災保険支給が決定された件数は、平成25年には436件でした。(厚生労働省「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」)


これらのうち自殺(未遂を含む)に係るものは、平成25年度には63件でした。(厚生労働省「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」)


自殺(未遂を含む)に係る事案では、業種別では社会保険/社会福祉/介護事業、道路貨物運送業、医療業等に多く、職種別では一般事務従業者が最も多くなっています。(厚生労働省「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」)


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脳・心臓疾患による労災補償は40歳以上の中高齢層で多く、


一方、精神障害の労災補償は、若い年齢層に多いのが特徴です。(厚生労働省「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」)


sakabesharoushi.hatenadiary.jp


このような労働者の働き過ぎやストレスから起こると考えられる様々な問題は、


本人だけでなく、ご家族にも大きな影響があるだけでなく、企業や社会にとっても大きな損失になります。


この問題には国でも真剣に取り組んでいて、これまでも政府による対策が講じられています。


そして平成26年6月には「過労死等防止対策推進法」が国会で可決され、同年11月1日から施行されています。


そして平成27年7月24日には「過労死等の防止のための対策に関する大綱」閣議決定しました。


次のブログで、この「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の閣議決定について触れたいと思います。