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へんてこ社労士のときどきブログ

さかべ社会保険労務士事務所オフィシャルブログ

再チェック!労働時間の把握と管理方法

労働時間

暖かくなったり、風が吹いたり、時々寒かったり・・・花粉症にも困らせられる季節です。


でも新年度は、多くの職場では新しい顔ぶれ、新しい仕事、新しい場所でリフレッシュする時期ですよね。


忙しい時期ですが、早く慣れて、みんなで仲良くなって、働きやすい職場を作る良いタイミングかも。


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厚生労働省では、省を挙げて長時間労働の是正や過労死の防止に取り組んでいるようです。


そんな中、平成29年1月20日、事業主向けに「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインが公開されました。


既に同様の内容で、平成13年4月6日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」という通達も出ていました。


しかし、近年の「長時間労働による過労死」や、労働者の自己申告制の不適切な運用による「割増賃金の未払い」が続く現状等を踏まえ、使用者がどのように労働時間を適正に管理すべきかを、さらに具体的に示したものだと思われます。


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このガイドラインでは「労働時間」の考え方について、あらためて整理しています。


「労働時間」とは、使用者の「指揮命令下」に置かれている時間のことで、


使用者の「明示や黙示の指示」により労働者が業務に従事する時間は「労働時間」になります。


つまり、口頭で言われてなくても、文書で書かれてなくても、「客観的」にみて、労働者の行為が使用者から「義務付け」られ、あるいはこれを「余儀なく」されていた等の状況の有無等から、「労働時間」は個別具体的に判断されます。

例えば、以下の場合も「労働時間」になります。


1)業務に必要な準備行為(所定の服装への着替え等)や、業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を会社内で行った時間


2)労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(タクシー運転手がお客を待っている等の「手待ち時間」)


3)参加が義務付けられている研修等の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間


つまり、労働契約、就業規則労働協約等で「労働時間」についてどのように定められていたとしても、


「客観的」に「指揮命令下」に置かれていると評価できるか否かで「労働時間」であるか否か決まることになります。


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ところで、労働基準法では、使用者は労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務があります。


では、使用者が労働時間を適切に管理するには、どうすればよいのでしょうか。


このガイドラインでは、使用者が行うべき労働時間の適正な把握方法やその改善のための具体的な措置が示されています。


1)使用者は、労働日ごとに始業・終業時刻を確認・記録を残すこと


2)始業・終業時間時刻を確認と記録は、原則として客観的な方法によること


原則として、


> 使用者が自ら現認し、適正に記録すること


> タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等を基礎として確認し、記録すること


とされています。


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但し、どうしても労働者の「自己申告制」によらざる得ない場合は、


 ① 労働者や管理者に対して、適切な記録と申告を行うよう十分に説明し、自己申告制の適正な運用を図ること

 ② 労働者の在社時間と「自己申告した労働時間」に解離があった場合、使用者は実態調査を行い、労働者からの報告が正しく行われているか確認すること

 ③ 使用者は、労働者が適正な申告することを阻害する措置はとらないこと

 例えば、

 時間外労働の上限を設定し、上限を超える申告を認めない場合は、労働時間の適正な申告を阻害することになります。

 適正な申告を阻害する措置の事例として、以下のチェックポイントが挙げられています。

 〇時間外労働の削減の社内通達時間外労働手当の定額払い等が、適正な申告を妨げる要因になっていないか?

 〇36協定の延長時間を超えている場合でも、記録上、守っているようにすることが習慣的に行われていないか?


労働者に対して時間外労働を削減する指導や社内の慣習に対しても、注意を払う必要があるようです。


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3)賃金台帳や労働時間の記録に関する書類(出勤簿、タイムカード、残業命令書、労働者の報告書等)を、最後に記録された期日から3年間保存すること


  賃金台帳に記入していなかったり、故意に虚偽の労働時間を記入した場合は罰則の対象になります。


4)労務管理の「責任者」を置き、労働時間管理に関する職務を行うこと


5)必要に応じ「労使協議組織」を活用し、現状の問題点とその解消策等を検討すること

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以上のように、使用者が行うべき労働時間の適正な把握をして適切に労務管理をする方法が示されていますが、


当然やるべきこととは言え、着実に実行し続けることは、経営全般に関わる使用者にとって負担は小さくないと思います。


確かに使用者には「労働時間を適切に管理する責務」がありますが、


労働者としても(明らかな不法行為は別ですが)これを逆手にとるのではなく、


労使が一体となって、しっかり時間を守り、業務の効率化を図り、労働者同士で協力して過度な時間外労働を減らしながら、健康的な職場環境を作り上げていくことも大切だと思います。


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徐々に厳しく、違法な長時間労働

労働時間

2月末からプレミアムフライデーのキャンペーンが始まりました。


政府と経団連が「働き方改革」と「消費拡大」などを期待して始めたようですが、定着するのでしょうか?


でも、3月31日の金曜日は花見で午後3時から飲みに行く人が増えるかも・・・


だけど、年度・月締めや異動などで忙しい人が多いのかなあ・・・


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今回は、違法な長時間労働に対する国の対応について書いてみます。


「働き方改革実現会議」で、3月中に出される予定の実行計画に向けて残業の上限などについて、労使で議論されています。


月60時間を上限とし、繁忙期は一時的に月100時間・・・などが政府案で出ているようです。


年内には、上限時間を設定し、罰則規定を定めた労働基準法の改正が行われるかもしれません。


実際に、最近でも有名な企業で100時間を超える長時間労働による過労死など、マスコミを賑わすことがあり、相変わらず違法な長時間労働の問題は続いています。


ですから今後の法改正等を待つまでもなく、既に「違法な長時間労働」に対する国の管理が徐々に厳しくなっているようです。


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平成29年1月17日厚労省労働基準局から長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果」が公表されました。


内容は平成28年4月から9月までの6カ月間に、長時間労働が疑われる10,059事業場に対して労働基準監督署による監督指導を実施した結果の報告です。


昨年度、平成27年は4月から12月の9カ月間8,530事業場だったので、平成28年は監督指導の件数が大幅に増えています。


監督指導の対象になった長時間労働が疑われる事業場」というのは、


80時間を超える残業が行われた疑いのある事業場」や「過労死などに関する労災請求があった事業場」としています。


簡単に言えば、グレーやブラックの疑いのある企業に対して監督指導を行った結果が公表されたということです。


監督指導を行った事業場のうち、6,659もの事業場(66.2%)で労働基準法などの「法令違反」が確認されました。


主な法令違反の内容としては


違法な時間外労働(4,416事業場)」、


残業の賃金不払い(637事業場)」、


そして「過重労働による健康障害防止措置を実施していない(1,043事業場)」などとなっています。


上記の法令違反は「時間外労働80時間」を超える事業場が大半を占めています。


この監督指導の対象で時間外労働が「80時間」を超えたのは3,450事業場(78.1%)もありました。


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ところで、


1カ月の時間外労働「80時間」「100時間」が目安の時間になっているのはなぜかというと、


医学的な統計で、


1)脳・心臓疾患の発症前1カ月間に「おおむね100時間」を超える時間外労働


2)脳・心臓疾患の発症前2カ月間ないし6カ月間にわたって、1カ月当たり「おおむね80時間」を超える時間外労働


が認められる場合には「疾患の発症との関連が強い」ということがデータで明らかになっているからです。


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話を戻して・・・


この監督指導を行った業種で比較すると、


「接客娯楽業(飲食店、旅館業等)」の75.0%で法令違反があり、次いで「運輸交通業(72.7%)」となっています。


人の出入りが多く、人手不足感のある業種で法令違反を起こしやすい傾向があるのでしょうか。


もしかしたら、人が定着しないから法令違反状態になりやすく、法令違反状態だから人が定着しないという悪循環に陥ってしまっている事業所もあるかもしれません。


しかし一方で、この監督指導の結果から、


時間外労働が月200時間を超えた労働者のいる事業所が116あり、


150時間超200時間以下の事業所が373もあり、


100時間超150時間以下の事業所は1,930もありました。


人手不足などの経営上の問題があったとしても、これらは悪質な事業所ではないでしょうか。


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平成29年1月20日に労働基準局長から「違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について」という通達がありました。


この通達の概要は、


1)「複数の事業場のある社会的に影響力の大きい企業」で

重大、悪質な労働時間関係違反等が認められた企業に対して「経営幹部」を呼び出して、

本社を管轄する労働基準監督署長」が是正・改善を図るよう指導して全社的な改善の実行を確認する。


2)上記指導において、

「再度」違法な長時間労働や過労死を複数発生させた企業の「経営トップ」に対して、

本社を管轄する都道府県労働局長」から、早期に全社的な是正を図るよう指導を行うとともに

「事実を企業名とともに公表」する。


「企業名の公表は制裁ではなく、再発防止を図る公益性を確保するため」ということになっていますが、


「企業名の公表」は社会的な信用を落とし、経営に重大な影響を及ぼします。


おそらく違法な長時間労働の抑制に繋がるのではないかと思います。


今回の通達は、一昨年前、平成27年5月18日「違法な長時間労働を繰り返している企業に対する指導・公表について」という通達が基礎になっており、それより指導の対象となる企業が拡大されています。


具体的には、


平成27年の通達では、時間外労働時間が「100時間」を超え、法令違反があった企業が指導の対象であったのに対し、

平成29年の通達では「80時間」を超えた企業が対象になります。


また、平成27年の通達では「概ね1年程度の期間に3カ所以上の事業場で違法な長時間労働が認められる企業」となっていましたが、

平成29年の通達では「概ね1年程度の期間に2カ所以上の事業場(本社で2回認められる場合含む)で違法な長時間労働が認められる企業」となっています。


つまり、これまで以上に「企業名の公表」のハードルが下がり、公表される企業が増えることが想定されます。


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対象は「複数の事業場を持つ社会的に影響力の大きい企業」ということなので、当面は「大企業が中心」になりますが、


徐々に「違法な長時間労働」に対する国の姿勢が厳しくなっているようです。


働く人の健康や大切な命を守るうえでも、すべての企業は(中小企業も含めて)「違法な長時間労働」を無くすよう努めていく必要があると思います。


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いつまでも働ける時代に

高齢者

2月になると節分があって立春になります。


早く春らしく、暖かくなると嬉しいのですが・・・


世界中が、何となく騒がしくなっているような気がします。暖かい春のように良い方向に向かって欲しいですね。


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平成29年1月1日以降、65歳以上の労働者についても、「高年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象なりました。


いよいよ65歳以上の方も、本格的に「労働者」として働き続ける時代になってきたようです。


でも、これは今の日本人の意識に逆らったものではなく、意識の変化に合った自然な流れなのかもしれません。


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というのは「平成28年版厚生労働白書」にある内閣府「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(2013年)で、


60歳以上の男女に対し、「何歳ごろまで仕事をしたいか」についてたずねたところ、


「働けるうちはいつまでも(29.5%)」が最も多く、次いで「70歳ぐらいまで(23.6%)」、
「65歳ぐらいまで(21.4%)」となっている。なお、65歳を超えて働きたいと回答した人は合計で65.9%となっています。


性別に見てみると女性は「働けるうちはいつまでも(32.6%)」と答えた方が比較的高い割合を示しています。


また、内閣府の調査で国際的な比較を見てみると、


日本では仕事を辞める時期として適当と考える年齢で「65歳以上」と考えている人の割合は74.3%を占めており、欧米諸国と比較しても高い水準にあります。


国際的に日本の高齢者は就業意欲が高く、また実際に就労している人も多いと言えるようです。


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では高齢者が働きたいと思う理由は何でしょうか?


内閣府の調査でわかることは「経済上の理由(自分と家族の生活を維持するため、生活水準を上げるため)(68.1%)」が最も多く、次いで「生きがい、社会参加のため(38.7%)」、「健康上の理由(23.2%)」となっています。


年齢別に見てみると、比較的若い世代(40代~50代)は「経済上の理由」が最も多く、年齢階級が上がるにつれて「経済上の理由」の割合が低下していき、「生きがい、社会参加のため」や「健康上の理由」等の割合が増える傾向にあります。


年金や長年の貯蓄で比較的豊かな高年齢者と、将来が不透明で不安を感じているやや若い世代とは、老後の仕事に対する考え方が異なっているように見えます。


しかし、多くの人が65歳を超えても働くことを希望し、意欲のある高齢者が働くことを通じて、生きがい、社会参加、健康維持の機会を作ることを希望していることは、同様に言えるのかもしれません。


ですから、65歳以上の方も意欲を持って働ける高齢化社会をつくることは、これからの日本人にとって大きな意義があることになるかもしれません。


では、高齢者が就労にあたって重視することはなんでしょうか?


「体力的に無理なく続けられる仕事であること(66.8%)」が最も多く、次いで「自分のペースで進められる仕事であること(48.3%)」、「勤務日や勤務時間を選べること(34.0%)」、「自分の能力を発揮できること(28.7%)」となっています。


高齢者としては、自分の健康や能力に合わせて、悠々自適に自分の力を発揮して社会に参加し続けたいという要望があるので、それらをくみ取って活躍してもらうことが、これからの会社経営にも求められていることではないかと思います。


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「若者の減少」が止められない現在、最近のAIやロボットの急速な進化と上手く関わりながら、


積極的な意味で「元気な高齢労働者大国」になることも、意外に良い選択肢になるかもしれませんね。


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年功賃金崩れる?「同一労働同一賃金」ガイドライン案

賃金

新たな年が始まりました。


今年もこのブログに、労務や社会保険などについて目に留まったことを、「ときどき」書いていこうと思います。


このブログをご覧くださっている皆様には、心より御礼申し上げます。


いろいろと騒がしい世の中ですが、今年が良い年になりますようお祈りいたします。


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今回は同一労働同一賃金について、昨年末、少し動きがあったので、それについて書きます。


安倍総理が、平成28年の当初から「一億総活躍国民会議」や「働き方改革実現推進会議」や国会などで度々発言していた同一労働同一賃金」のガイドラインが、平成28年12月20日、政府から公表されました。


これは「正規雇用労働者(正社員、無期雇用フルタイム労働者)」と「非正規雇用労働者有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)」の不合理な待遇差を無くし


日本から非正規雇用」という言葉を一掃することを目指すために出されたもので、


このガイドライン案をもとに、法改正の立法作業を進めるとともに、関係者の意見や国会審議を踏まえて、最終的に確定するものです。


ですから、今後、この内容がどのように立法に生かされるのか分かりませんが、


もし仮にガイドライン案の通り」に法改正が進めば、「非正規雇用労働者」という「だけ」で、不合理な低い処遇はできないことになると思います。


反対に「正規雇用労働者」という「だけ」で、賃金が高いなどの高待遇になることも無くなると思います。


というのは、企業に対して、賃金が高いあるいは低いなどの待遇の違いの理由を「合理的に説明」することを求めることまで踏み込んでいるからです。


(「将来の役割期待が異なるから」などの主観的・抽象的説明では不足、としています。また、企業の説明責任については触れていますが、司法判断の際の立証責任についてどうなるかは今後の立法の注目点だと思います。)


ですから、例えば「有期雇用労働者」に対して「正社員」より低い賃金を支払うには、その違いを客観的・具体的な実態を示さなければなりませんし、


逆に言えば、例えば「正社員」に対して「有期雇用労働者」より高い賃金を支払うには、「価値の高い労働をしている」ことを客観的・具体的な実態を示さなければならないことになると思います。


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このガイドライン案では、「正規雇用労働者」と「非正規雇用労働者」の待遇差が不合理である場合不合理でない場合の典型的な事例が具体的に付されています。


日本では欧州と異なり、賃金の決まり方が様々な要素が組み合わさり複雑な場合が多いので、


賃金の種類と基準・条件を「場合分け」して


「処遇差を認めること」や「処遇差を認めないこと」の原則を、事例を示して説明しています。


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では、その内容の概略を説明します。


「基本給」については、「正規雇用労働者」と「非正規雇用労働者」で下記の条件がそれぞれ同一であれば、同一の支給をしなければなりません。また、一定の違いがあれば、その相違に応じた支給をしなければなりません。


1)労働者の「職業経験・能力」に応じて支給しようとする場合、

同一の職業経験・能力を蓄積していれば、それに応じた部分につき、同一の支給しなければならない。一定の違いがあれば、その相違に応じた支給をしなければならない。


<問題となる例> 現在行っている業務と「関連性がない職業経験」が「多い」ことを理由として「正規雇用労働者」に対し「非正規雇用労働者」より多額の基本給を支給すること


2)労働者の「業績・成果」に応じて支給しようとする場合、

同一の業績・成果を出していれば、それに応じた部分につき、同一の支給しなければならない。一定の違いがあれば、その相違に応じた支給をしなければならない。


<問題となる例> 「正規雇用労働者」が販売目標を達成した場合に支給している業績給を、「労働時間が短い非正規雇用労働者」が正規雇用労働者の販売目標に届かない」ことを理由に支給しないこと


3)労働者の「勤続年数」に応じて支給しようとする場合、

同一の勤続年数であれば、それに応じた部分につき、同一の支給しなければならない。一定の違いがあれば、その相違に応じた支給をしなければならない。


<問題となる例> 有期雇用の更新を続けている「非正規労働者」の勤続年数を、当初の雇用契約開始時から「通算しない」こと


また、「基本給の昇給」について、勤続による職業能力の向上に応じて行う場合、


正規雇用労働者」と「非正規雇用労働者」が同様の勤続により職業能力が向上していれば、同一の昇給をしなければなりません。また、一定の違いがあれば、その相違に応じた昇給をしなければなりません。


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賃金に含まれる「手当」については、「正規雇用労働者」と「非正規雇用労働者」の「処遇差を認める手当」「処遇差を認めない手当」に分けています。


〇「処遇差を認める手当」

「賞与」「役職手当」は、下記の条件がそれぞれ同一であれば、同一の支給をしなければなりません。また、一定の違いがあれば、その相違に応じた支給をしなければなりません。


1)「賞与」について、会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合、


<問題とならない例> 「正規雇用労働者」は生産効率や品質目標に責任を負っており、目標未達の場合はペナルティが課されていて、「非正規労働者」は目標達成の責任を負わず、処遇上のペナルティーを課していない場合、ペナルティを課していないこととの見合いの範囲内で、賞与を支給しないこと


<問題となる例> 「正規雇用労働者」と同一の会社業績への貢献がある「非正規雇用労働者」に同一の賞与の支給をしていないこと


2)「役職手当」について、役職の内容、責任の範囲に対して支給しようとする場合、


<問題とならない例> 「正規雇用労働者」と同一の役職名で役職の内容・責任も同一であるが労働時間半分の「パートタイムの非正規雇用労働者」に、半分の額の「時間比例の役職手当」を支給すること


<問題となる例> 「正規雇用労働者」と同一の役職名で役職の内容・責任も同一である「非正規雇用労働者」に、低額の役職手当を支給すること


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〇「処遇差を認めない手当」(全ての労働者で同一にしなければならない手当)


正規雇用労働者」と「非正規雇用労働者」で「処遇差を認めない手当」としては、以下のものが挙げられています。


1)業務の危険度または作業環境に応じて支給される「特殊作業手当」


2)交替制勤務など勤務形態に応じて支給される「特殊勤務手当」


3)「精皆勤手当」


4)「時間外労働手当」


5)「深夜・休日労働手当」


6)通勤手当・出張旅費」


7)勤務時間内に食事時間が挟まれている労働者に対する食費の負担補助として支給する「食事手当」


8)「単身赴任手当」


9)特定の地域で働く労働者に対する補償として支給する「地域手当」


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〇その他「処遇差を認めないこと」(全ての労働者は同一処遇にしなければならないこと)

「福利厚生」「教育訓練」「安全管理」に関することも「処遇差を認めない事項」として挙げられています。


1)「福利厚生」

> 福利厚生施設(食堂、休憩室、更衣室)

> 転勤者用社宅

> 慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障

> 病気休職

> リフレッシュ休暇等の法定外休暇


2)現在の職務に必要な技能・知識を習得する教育訓練


3)安全管理に関する措置・給付


上記の事項については、「正規雇用労働者」と「非正規雇用労働者」の間で条件がそれぞれ同一であれば、同一の支給をしなければなりません。


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このガイドライン案には、法的拘束力はありませんが、今後の法改正に影響を与えると思います。


そして、このガイドラインでは「同一労働同一賃金」の実現に向けて「各企業」において、職務や能力等の明確化し、それに対する賃金等の処遇体系全体を構築し、公正な評価を推進することを、「労使の話し合い」で速やかに進めることが望ましい、としています。


ですから今後の法改正によっては、企業にとって人件費も含めて大きな負担が懸念されるかもしれません。


一方「正社員」として安泰であった労働者にとっては、年功賃金の慣習も大きく崩れ、もしかすると厳しい状況になるかもしれません。


しかし、労働者全体の4割にもなってしまった「非正規雇用労働者」にとっては、不当な格差解消は必要なことだと思います。


今後も、どのような法改正が行われるのか、注視していく必要があると思います。


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変わる変わる労働法

労働関連法

日々せわしく動き回っているうちに、


いつの間にか平成28年も最後の月になってしまいました。


今年もいろいろな出来事がありました。


リオオリンピック、イギリスのEU離脱、アメリカ大統領選、韓国の大統領の疑惑、都知事選と築地移転とオリンピック問題・・・他にも大きな事件が沢山あったと思います。


これらいくつかの大きな出来事から、何となく世界中で「今までの流れと異なるうねり」が始まっているように感じてしまいます。


来年はどんな年になるのでしょうか。良い年になるといいですね。


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今回は、改正された主な労働関連法についてまとめようと思います。


長くなってしまいますが、読み飛ばしながら、全体のイメージを捉えていただければと思います。





最近、「労働」に関する法律これまでにないスピードで次々に改正され、また立法化されています。


その背景にあるのは、


近年、社会的ネットワーク(SNS)などによって、「働き方に対する様々な問題」が浮き彫りになり、


長時間労働によるうつ病の増加や、過労死などの事件の発生、職場でのセクハラやパワハラのような嫌がらせ問題の増加、非正規労働者の増加と格差の拡大など、多くの深刻な社会問題を改善するためであることは言うまでもないと思います。


一方、さらに別の視点で見ると、


アベノミクスの成長戦略として「労働政策」をその柱と位置づけていることも大きく影響していると思います。


例えば成長戦略に必要なこととして、


「デフレ脱却」のために労働者の賃金のベースアップが重要であり、いわゆる「官製春闘」により、本年度も地域別最低賃金を大幅に引き上げました。


また長期的な「成長産業の育成」のためには、失業を抑えながら労働力を成長分野に移動させていくことが必要であり、


さらに「減少していく労働力への対応」のためには、女性、高齢者、障害者、外国人そして未就労の若者等、全て人の活用が必要であり、


「労働力の質を価値の高いものに変えていく」ためには、非正規労働者(有期労働者、派遣労働者等)と正社員等との間の不当な格差の是正や待遇を改善することが必要であり、


そして労働生産性を上げる」ためには、長時間労働に依存する働き方を変え、能力ある人材の雇用を維持できるようにし、仕事と生活の均衡のとれた健康的な職場環境に変えることを支援することが必要になります。


政府や与党としては、アベノミクスを推し進める重要施策のひとつ として、近年、労働関連法を次々に改正しているのではないかと思います。


では実際、近年、どのくらい多くの労働関連法が変わっているのでしょうか。


この4年間で変わった主な16の法律を大くくり(分類は個人的判断です)にして、


以下に改正のポイントをまとめてみます。


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【Ⅰ.成長産業の育成のための労働力移動】

失業を抑えながら新たな分野への職業転換(同一企業内も含む)を可能とするために、労働者に対するキャリアコンサルティングや職業能力の拡大の支援のための法律を改正しています。



1)職業能力開発促進法の改正(平成27年10月および平成28年4月施行)

労働者が自らキャリア開発(長期的、計画的な職能開発)できるよう支援する仕組みを強化しています。

≪ポイント≫

> ジョブ・カード(職務経歴等記録書)を法律上に位置づけ普及促進(平成27年10月施行)

> 労働者自身にもキャリア開発の責任(平成28年4月施行)

> 事業主に労働者のキャリア開発の支援することを(努力)義務(平成28年4月施行)

> 事業主が行うキャリア開発支援の中核にキャリアコンサルティングを置き、必要に応じて講じる措置を規定(平成28年4月施行)

> 「キャリアコンサルタント」を国家資格化(平成28年4月施行)

> 退陣サービス分野で働く人に対する技能検定を構築(平成28年4月施行)


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【Ⅱ.労働力減少への対応】

人口減少社会に対応するために、女性、高齢者、若者、障害者、そして外国人等一億総活躍社会」を目指し、立法や法律改正を行っています。



1)次世代育成支援法の改正(平成26年4月および平成27年4月施行)
子育てを職場ぐるみで行うことを規程した法律を延長し、強化をしています。(従業員100人以下の企業においては努力義務)

≪ポイント≫

> 職場ぐるみで子育てをサポートするため、仕事と子育ての両立について企業が行動計画を立て届け出ることを定めた同法を10年間延長(平成26年4月施行)

> 優良な企業に対する新たな認定制度の創設(平成27年4月施行)



2)女性活躍推進法(平成28年4月施行)
主に大企業に対し女性活躍のための行動計画の策定、目標の実施状況と課題の分析の報告義務を課しています。(従業員300人以下の企業は努力義務)

≪ポイント≫

> 301人以上の労働者を雇用する事業主は、女性の活躍状況(採用者に占める女性比率、勤続年数の男女差、労働時間、管理職に占める女性比率)を把握し、課題分析の義務

> 上記を踏まえた①行動計画の策定、②労働者への周知、③外部への公表、④届出の義務

> 自社の女性の活躍に関する情報の公表と優良な企業の認定


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3)高年齢雇用安定法の改正(平成25年4月施行)

60歳以降の就労促進のために、企業が雇用確保措置を充実させるための法律として強化しています。

≪ポイント≫

> 継続雇用制度の対象者を制限できる仕組みを廃止(希望者全員が対象になる可能性)

> 継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲をグループ企業まで拡大する仕組みを設定

> 義務違反に対する勧告に従わない企業名を公表
> 事業主が講ずべき高年齢者雇用確保措置の実施および運用に関する指針の策定


4)雇用保険法の改正(平成29年1月施行)

65歳以上の高齢者も現役で働き続けられるよう雇用保険法を改正しています。

≪ポイント≫

> 現行では雇用保険の適用除外となっている65歳以上の雇用者も雇用保険の対象(平成32年度より、64歳以上の雇用保険料の徴収開始)

> 65歳以上の「高年齢被保険者」は、要件を満たせば、高年齢求職者給付金、育児休業給付金、介護休業給付金、教育訓練給付金の支給対象

> その他、雇用保険料率の引下げ、および介護休業給付の引き上げ


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5)若者雇用促進法(平成27年10月、平成28年3月および平成28年4月施行)

未就労の若者に対する適切な職業選択の支援職業能力を向上させる措置等、就業しやすい環境を整えるための法律です。

≪ポイント≫

> 事業主、職業紹介事業者、国および地方自治の青少年の雇用における責務の明確化と相互連携(平成27年10月施行)

> 若者の適切な職業選択のため、

  ・事業主による職場情報の提供の義務化(平成28年3月施行)

  ・ハローワークは、一定の労働関係法令違反があった事業所の新卒求人を一定期間不受理(平成28年3月施行)

  ・若者の雇用管理の状況が優良な従業員300人以下の企業に大臣による認定制度の創設(平成27年10月施行)

> 若者の職業能力の開発・向上および自立の促進のため、

  ・国は地方公共団体と連携し、職業訓練の推進ジョブ・カード(大臣が定める職務経歴等記録書)の普及促進(平成27年10月施行)

  ・ニートなどの青少年に対し、相談機会の提供自立支援のための施設(地域若者サポートステーション)の整備(平成28年4月施行)

> ハローワークが学校と連携し、「中退者」の職業指導および職業紹介 (職業安定法の改正 平成27年10月施行)


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6)障害者雇用促進法の改正(平成28年4月および平成30年4月施行)

雇用における障害者に対する差別の禁止、働く場合の支障を改善する措置を定めています。また、精神障害者の雇用についても算定されることになります。

≪ポイント≫

> 障害を理由とする差別的取扱いを禁止および働く際の合理的配慮の提供義務(平成28年4月施行)

> 法定雇用率(障害者の雇用義務)の算定に精神障害者加える(平成30年4月施行)

> 事業主は、相談窓口の設置など、障害者からの相談に適切に対応する体制の整備する義務、および苦情を自主的に解決に解決する努力義務(平成28年4月施行)


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7)出入国管理法の改正(平成27年4月および平成27年1月施行)

外国人の人材を受け入れ易くなるよう改正しています。

≪ポイント≫

> 高度な専門的能力のある外国人の人材の受け入れ促進のために「高度専門職」という新たな在留資格を設け、活動制限を大幅に緩和し、在留期間を無期限とすることも可能に(平成27年4月施行)

> 「国内資本企業」において事業の「経営・管理活動」ができる在留資格を設け、これまであった「外国資本との結びつき」の要件を削除(平成27年4月施行)

> これまでの専門的区分「技術」(理系)と「人文知識・国際業務」(文系)を一本化し、包括的な「技術・人文知識・国際業務」としたことで、企業等のニーズに柔軟に対応可(平成27年4月施行)

> 低年齢からの国際交流に資するため、外国人の中学生、小学生にも在留資格「留学」を付与(平成27年1月施行)


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【Ⅲ.労働力の質の向上、不当な格差の是正】
雇用形態が異なることで不当な賃金格差や労働条件の格差が生じ、社会的格差の固定化が進み労働力の質の低下を招く可能性があるため、これを是正するための立法や改正が行われています。



1)労働契約法の改正(平成24年8月、平成25年4月、平成26年4月および平成27年4月施行)

有期労働契約の反復更新の下で生じる雇止めの不安を解消し、安心して働き続けられるように改正されています。

≪ポイント≫

> 有期労働契約を5年間繰返し更新すると、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換可能(平成25年4月施行)

> 有期労働契約の「雇止め」の要件の明確化(平成24年8月施行)

> 有期契約労働者と無期契約労働者の不合理な労働条件の相違の禁止(平成25年4月施行)

> 大学や研究開発法人で有期労働契約で働く研究者の無期転換申込権発生までの期間を10年とする特例(平成26年4月施行)

> 高度専門知識等を有する有期雇用労働者および定年後に継続雇用される者の無期転換申込権発生までの期間延長の特例 (特別措置法 平成27年4月施行)



2)パートタイム労働法の改正(平成27年4月施行)

短時間労働者の公正な待遇を確保し、労働条件を理解し納得して働くことができるよう法律を改正しています。

≪ポイント≫

> パートタイム労働者(有期労働契約の短時間労働者も対象)の公正な待遇と不合理な取扱いの禁止

> パートタイム労働者の納得性を高めるための措置の義務

 ・雇い入れ時の雇用管理について説明義務

 ・説明を求めたことによる不利益取扱いの禁止

 ・相談に対応する体制整備の義務

 ・相談窓口の周知義務

> 厚生労働大臣の勧告に従わない場合の事業主名の公表や虚偽の報告等に対して過料の新設

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3)待遇確保法〈別名:同一労働同一賃金法〉(平成27年9月施行)

雇用形態が多様化する中で、雇用形態により労働者の待遇や雇用の安定性の格差が存在し、これが社会での格差の固定化に繋がることが懸念されています。それらの状況を是正するため、労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進を、国に義務付けています。

≪ポイント≫

> 国は労働者の職務に応じた待遇の確保等の施策の策定および実施の義務

> 国は労働者の雇用形態による職務の相違、および賃金、教育訓練、福利厚生その他の待遇の相違の実態の調査研究の義務

> 国は雇用形態の異なる労働者について、その待遇が不合理にならないよう必要な施策を講ずる義務

> 政府は3年以内に、派遣労働者と派遣先に雇用される労働者との、業務の内容および責任の程度などに応じた均等な待遇および均衡のとれた待遇を図るための法制上の措置等を講ずる義務



4)労働者派遣法の改正(平成27年9月および平成27年10月施行)

派遣労働は、「臨時的・一時的なもの」であることを原則とするという考え方のもと、正社員の常用代替を防止し、より一層の雇用の安定、キャリアアップを図ることを目的として改正しています。

≪ポイント≫

> 労働者派遣事業については届出制は廃止し、すべて許可が必要(平成27年9月施行)

> 派遣労働者の雇用の安定のために派遣元から①派遣先への直接雇用の依頼、②新たな派遣先の提供、③派遣元での無期雇用の措置およびキャリアアップ措置の実施、均衡待遇の推進、派遣先の雇入れ努力義務(平成27年9月施行)

> 同一の派遣先の事業所に対し派遣期間を原則3年とし、同一の派遣労働者を、同一の組織単位に派遣できる期間も3年が限度(平成27年9月施行)

> 違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先が同一の労働条件で労働契約(直接雇用)の申込みとみなす制度に(平成27年10月施行)


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【Ⅳ.労働生産性の向上、労働環境の改善】
労働生産性を上げるために、必要以上の長時間労働を減らし、有能な人材の雇用を維持し、仕事と生活の均衡のとれた、健康的な職場環境にするための法律改正が行われています。



1)労働安全衛生法の改正(平成27年6月、平成27年12月および平成28年6月施行)
最近の化学物質による胆管がんの発生や、長時間労働等を原因とする精神障害などの労災認定数の増加等に対応し、労働者の安全と健康の確保の対策に向けて改正されています。

≪ポイント≫

> 化学物質のリスクアセスメント(事業場の危険性、有害性の特定、見積り、提言措置等)の実施義務(平成28年6月施行)

> 労働者50人以上の事業所にストレスチェックの実施等の義務化(平成27年12月施行)

> 受動喫煙防止措置の努力義務化(平成27年6月施行)

> 重大な労災を繰り返す企業に対し、大臣が指示、勧告、公表(平成27年6月施行)



2)過労死防止等対策推進法(平成26年11月施行)
近年の過労死等の多発に対応し、国および政府は過労死等の対策を推進し、仕事と生活を調和させ、健康で働き続けることのできる社会の実現する義務を課しています。

≪ポイント≫

> 政府は「過労死等の防止対策の大綱」を定める義務

> 国は過労死防止のため、①調査研究等、②啓発、③相談体制の整備等 ④民間団体の活動に対する支援を行う義務

> 政府は、必要があるときは、過労死等の防止に必要な法制上または財政上やその他の措置を行う義務


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3)育児介護休業法の改正(平成29年1月施行)

介護や育児をしながら働く有期契約および無期契約労働者が、介護休業・育児休業を取得しやすくするように改正しています。

≪ポイント≫

> 介護を必要とする対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として(これまで1回)、介護休業を分割して取得可能

> 介護休暇(1年に5日、対象家族が2人以上の場合は10日)を半日単位(これまで1日単位)での取得可能

> 介護休業とは別に(これまで介護休業93日の範囲内)、介護のための所定労働時間の短縮措置を3年間で2回以上の利用が可能

> 対象家族1人につき、介護終了まで、介護のための残業の免除が可能

> 有期契約労働者の育児休業の取得要件の緩和

> 子の看護休暇(1年に5日、子が2人以上の場合は10日)を半日単位(これまで1日単位)での取得可能



4)男女雇用機会均等法の改正(平成29年1月1日施行)
育児休業、介護休業等を理由とする嫌がらせ等を防止措置を新設し、さらに派遣社員にも適用を拡大しています。

≪ポイント≫

> 事業主のみでなく、「上司・同僚からの」妊娠・出産、介護休業等を理由とする嫌がらせ等を防止する措置等講じることを事業主に新たに義務付け

> 派遣労働者派遣先にも、育児休業等の理由とする不利益取扱いの禁止や、妊娠・出産、育児休業、介護休業等を理由とする嫌がらせ等の防止措置の義務付け


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このように近年、数多くの労働関連法が改正されてきましたが、


今後もおそらく労働関連法の改正が続くことが予想されます。


例えば、平成27年から国会で「労働基準法」についての改正案が審議されています。


具体的には、


> 「高度プロフェッショナル制度」で一定の年収要件(少なくとも1,000万円以上)を満たす労働者が、高度な専門的知識が必要な業務に従事する場合に、本人の同意や委員会の決議などを要件として、労働時間外、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とすること。


> 既に大企業に適用している月60時間を超える時間外労働に関する割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止すること。

> 年次有給休暇の取得促進のために、使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、そのうちの5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととすること。


> フレックスタイム制の「清算期間」の上限を1か月から3か月に延長する。併せて、1か月当たりの労働時間が過重にならないよう、1週平均50時間を超える労働時間については、当該月における割増賃金の支払い対象とすること。


などについて検討を進めているそうです。


また、平成28年11月28日に公布され、1年以内に施行されることになっている「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」では


多くの事業場で働く外国人技能実習生の「技能実習の適正な実施」および「技能実習生の保護」を図ることを目的としています。


それ以外にも、三六協定の上限時間や「同一労働同一賃金」に関するいくつかの法案についても検討しているようです。


労働に関する問題は、現在、社会の関心のある最も大きな話題のひとつだと思います。


どれも簡単に解決できるものではありませんが、法律改正で本当に良い方向に変わるかどうか、これからもしっかりと追っていくことは大事だと思います。


皆様も、身近に関わることだと思いますので、これからも是非、労働関連法について関心を持ち続けてください。



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「イクボス」ご存知ですか?

子育て 育児

台風などの影響で天気が不安定な間に、いつのまにか蝉の声もほとんど聞こえなくなってしまいました。


今は秋の虫の声が少しづつ増えてきているような気がします。


なんとなく秋めいてきました。


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ところで、


「イクボス」という言葉を聞いたことがありますか?


不勉強な私は、残念ながら全く知りませんでした。(よくご存じの方、すみません)


栃木県が出した「とちぎイクメン」のパンフレットを見て初めてこの言葉を知り、ちょっとだけ調べてみましたのでご紹介します。


おそらく勘のいい皆様は、この言葉を聞いただけでもう「ピンときた」と思います。


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「イクボス」とは、


職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランスを考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果も出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(男性、女性)のことだそうです。


そもそも、男性の従業員や部下の育児参加に理解があり、積極的に支援する経営者や上司のことを指すイクメン」の派生語だそうですが、その対象は、介護、地域活動、日々の生活等まで段々広がっているようです。


最初は、平成25年2月に群馬県で開催した「ぐんまのイクメン・イクボス養成塾」で、「イクメン」に対応する言葉として「イクボス」が使い始められました。


平成26年3月からは、「特定非営利活動法人ファザーリングジャパン」(後援:内閣府男女共同参画局厚生労働省、にっぽん子育て応援団)という組織が「イクボスプロジェクト」という活動を行っています。


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このプロジェクトでは「イクボス10か条」というのを掲げていますので、ご紹介します。


「イクボス」に求められている条件というのは、


① 理解
部下が、子育て・介護・地域活動などのライフに時間を割くことへ、理解を示していること


② 多様性

ライフに時間を割いている部下を、差別せず、ダイバーシティー(多様)な経営をしていること


③ 知識
ライフのための社内制度(育休制度など)や法律(労基法など)を、知っていること


④ 組織浸透
管轄している組織全体に、ライフを軽視せず積極的に時間を割くことを推奨し広めていること


⑤ 配慮

転勤や単身赴任など、部下のライフに大きく影響を及ぼす人事については、最大限の配慮をしていること


⑥ 業務
育休取得者などが出ても業務が滞らないよう、情報共有チームワーク醸成などの手段を講じていること


⑦ 時間捻出
部下がライフの時間を取りやすいよう、会議や書類の削減、意思決定の迅速化などを進めていること


⑧ 経営目標
ボスの上司や人事部などに対し、社員のライフを重視した経営をするよう、提言していること


⑨ 自らWLB(ワークライフバランス

ボス自ら、仕事×私生活×社会貢献というワークライフバランスを重視し、楽しんでいること


⑩ 業績達成
組織の長として、職務を全うし、業績やコミットメントを果たしていること


とされています。


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一方、「イクボス」が「イクメン」に理解を示して、その活躍を支えると、以下のようなメリットがあるそうです。


1)「人」としての成長(イクメン

> 言葉の通じない子どもと接することで「高いコミュニケーション力」が身につく


> 限られた時間で育児をこなすことでタイムマネジメント力」が身につく


> ストレスの溜り易い育児をすることで「ストレスマネジメント力」が身につく


> 家族みんなで育児をすることになるので「チームマネジメント力」が身につく


> 親としての新たな経験が身につくので「企画開発能力」が高まる


2)「企業」としての成長


> 残業をしないという意識や、仕事の優先順位を見極める力がつくので「時間当たりの生産性」が高まる

> 家事育児も経験することで「互いを思いやる風土」が職場に生まれる


3)「日本経済」の成長

> 男性が育児に関わることで「女性活躍の後押し」ができる

> 男性の家事の時間が増えると「第2子の出生率が高くなる」という厚労省のデータ(2011年)がある


4)「子どもの心」の成長


> 男性が積極的な育児をすると、子どもの「知能」「精神」「学術」「社会性」に好影響が出るというデータ(Public Health Agency of Canada 2007)がある


「イクボス」が「育児」だけでなく「介護等」への理解を示し部下を支えることで、やはり、上記と同様のメリットがあると思われます。


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「イクボス」については、大手新聞各社やNHKなどでも取り上げられ、また、イクボスプロジェクトでは、イクボス企業同盟等には多くの有名な企業が協賛しているようです。


また、多くの地方自治体や大学などでも、「イクボス宣言」をしています。


私は不勉強でよく知らなかったのですが、「イクボス」は浸透しつつある言葉だったのですね。


今後は、実際に、社会、組織、および人が、この「言葉に合うように変わっていく」ことが求められているのかもしれません。



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会社のマタハラ対策が義務化です!

セクハラ パワハラ マタハラ

リオのオリンピックでは、日本の選手が大活躍でしたね。


テレビを沢山観ました。メダルを取る取らないにかかわらず、すごく感動しました。


4年後の東京オリンピックも楽しみです。


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今回は「マタハラ対策」に関する法律改正、および政府の指針について少し書いてみます。


雇用保険等の一部を改正する法律(育児・介護休業法、男女雇用機会均等法雇用保険法等の改正)」が、
平成28年3月29日に参議院本会議で可決され、3月31日に公布されました。


これを受けて、平成29年1月1日から、改正された「育児介護休業法」や「男女雇用機会均等法(以下、均等法)」などが施行されます。


これら改正法の目的は、


妊娠・出産・育児期や家族の介護が必要な時期に、男女ともに離職することなく働き続けることができるよう、仕事と家庭が両立できる社会の実現を目指し、雇用環境を整備する」ことで、


仕事と介護の両立支援」「仕事と育児の両立支援」「’妊娠・出産・育児・介護’をしながら継続就業できる就業環境の整備」のための改正がされています。


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改正された事項はいろいろありますが、要点をまとめると、


1)介護離職を防止することと、仕事と介護の両立を可能とする制度の整備するために、


> 介護休業(93日)を3回を上限として分割取得できること

> 介護休暇(介護休業ではない)を半日単位の取得ができること

> 介護休業とは別に、所定労働時間の短縮措置等を3年間で2回以上の利用が可能なこと

> 介護終了までの期間、所定外労働の免除請求できること

> 有期契約労働者の介護休業取得要件を緩和すること


などが現行法と変わります。


2)多様な家族形態・雇用形態に対応した育児期の両立支援制度の整備として、


> 子の看護休暇(年5日、子が2人以上10日)を半日単位の取得ができること

> 有期契約労働者の育児休業の取得要件を緩和すること

> 法律上の親子関係に準じる関係特別養子縁組等)の子についても「育児休業等の対象」として追加すること


などが変わります。さらに、


3)妊娠・出産・育児休業・介護休業をしながら継続就業しようとする男女労働者の就業環境の整備として、


> 妊娠・出産・育児休業・介護休業等を「理由」とする、上司・同僚などによる就業環境を害する行為を防止するために、雇用管理上必要な措置をとることが事業主に義務化されること


と改正されることになります。


現行法でも、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を「理由」とする「不利益取扱い(解雇、雇止め等)」は禁止されていますが、


さらに、このようなことが起こらないようにするための「防止措置の義務」が新たに追加されることになります。


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今回の改正で特筆すべきことのひとつとして、妊娠や出産を理由に職場で不当な扱いや嫌がらせをする「マタニティーハラスメント(以下、マタハラ)」の対策が義務化されたことだと思います。


政府が、このように企業にマタハラ対策を義務付ける法改正に踏み出した背景にひとつに、最高裁のひとつの判決がありました。


平成26年10月23日の最高裁の判決で、妊娠中の女性労働者が軽易な業務への転換を契機として降格されたことは、均等法の「妊娠や出産を理由にした、解雇その他不利益な取り扱い」に当たり、原則違法としました。


その概要は、


ある病院の訪問介護施設の副主任(管理職手当あり)である理学療法士の女性労働者が、第2子を妊娠し、労働基準法65条に基づいて軽易な業務への転換を要求しました。そして病院は軽易な業務として病院リハビリ科に異動させた後、副主任を免ずる旨の辞令を出しました。


その後、女性労働者は産前産後の休業をし、育児休業を終えて約1年後に職場復帰しましたが、既に後輩の副主任がおり、今後も副主任に任じられないことを知らされました。


性労働者はこれを不服として強く抗議し、その後、この訴訟を提起したそうです。


この最高裁の判決の結果、女性労働者が敗訴とされた1、2審の判決を破棄し、高裁に差し戻し、女性が勝訴しました。


妊娠をめぐる降格処分について、最高裁が均等法違反と判断したのは初めてのことだそうです。


ですから、今回の法改正に大きな影響を与えていると思います。


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ところで、平成27年11月12日の労働政策審議会雇用均等分科会でも


「妊娠等を理由とする不利益取扱い(いわゆるマタハラ)に関する調査結果」が報告されました。


6500社で雇用される25~44歳の女性労働者約26,000人、およびウェブモニターに登録している25~44歳の女性労働者2,500人と25~44歳の雇用経験のある女性2,500人に対して、平成27年9月14日~10月4日までの調査結果です。


その調査によると、


> 職場でマタハラを受けた女性労働者の45.9%「妊娠・出産」自体が原因だと考えています。


> 職場でマタハラを受けた女性労働者の54.4%が「健康だった(不調はなかった)」と思っています。


> 職場でマタハラを受けた女性労働者の19.1%「直属の上司(男性)」がその行為をした者とし、15.2%「直属よりも上位の上司(男性)」を行為者としています。
また11.1%の女性労働者が「直属の上司(女性)」9.5%「職場の同僚、部下(女性)」を行為者と考えています。


> 「不利益取扱い」の内容としては「解雇」「雇い止め」がそれぞれ約2割で、また約半数が「’迷惑’’辞めたら’等、権利を取得しづらくする発言」を受けたとしています。


> 「正社員」より派遣社員」のほうがマタハラを受けています。


> 就業規則等」に明文化された育児休業制度の規定がある事業所の方が、女性労働者がマタハラを受ける確率が低くなっています。


> 「マタハラ防止策に取り組んでいる」事業所の方が「いずれも取り組んでいない事業所」より、女性労働者がマタハラを受ける確率が低くなっています。


> 「マタハラ防止策に取り組んでいる」事業所の方が「いずれも取り組んでいない事業所」より、就業を継続する女性労働者の割合が多くなっています。


この調査結果から、


実際に職場でマタハラの問題が相当の割合で発生しており、会社が対策をとれば減らすことができることが調査結果から想定できます。


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改正均等法の規定に基づいて、平成28年8月2日、マタハラに関して雇用管理上講ずべき措置についての「指針」が告示されました。(厚生労働省告示第三百十二号)


これは、マタハラを防ぐため、企業が実施すべき具体策を示した政府の「指針」で、平成29年1月1日の法律施行に合わせて運用が始まることになります。


この指針では、事業主が職場のマタハラに関して雇用管理上講ずべき措置として、


1)事業主の方針の明確化及びその周知・啓発


> マタハラがあってはならない旨の方針、妊娠、出産等に関する制度の利用ができる旨の説明等を明確にして、管理、監督者を含む労働者に周知・啓発すること

>マタハラの行為者に、厳正に対処する旨の方針や対処の内容を「就業規則等の文書」に規定し、管理、監督者を含む労働者に周知・啓発すること


2)相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備


> 相談窓口を定め、窓口担当者をおき、マタハラが現実に生じている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や微妙な場合であっても広く相談に対応すること

> マタハラ、セクハラ、パワハラ等の相談窓口として一元的に受け付ける体制の整備が望ましいこと


3)マタハラにかかる事後の迅速かつ適切な対応

> 事実関係を迅速かつ正確に確認し、速やかに被害者に対する配慮の措置を行い、行為者に対する措置も適正に行うこと

> 再発防止に向けた措置を講ずること


4)マタハラの原因や背景となる要因を解消するための措置

> 制度等の利用を受ける女性労働においても、制度等の利用ができるという知識を持つだけでなく、周囲と円滑なコミュニケーションを図りながら、自身の制度の利用状況等に応じて、適切に業務を遂行していくという意識を持つこと等を周知・啓発することが望ましい



5)その他併せて講ずべき措置


> 相談者・行為者のプライバシーを保護する措置を講じ、周知すること

> 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を「理由」として不利益な取扱いをしてはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること


などが、具体的に挙げられています。


さらに、マタハラの対象ととなるような言動も例示され、また、その行為者も「上司」だけでなく「同僚」も対象になります。


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これらの改正法や指針については、大企業だけでなく、すべての企業が遵守することが求められます。


特に中小企業にとっては、


マタハラ対策方針の策定体制整備就業規則・服務規程の作成窓口の設置、社内法、パンフレット等での周知・啓発活動、および研修・講習会の実施等、かなり重い業務になりそうな気がします。


既に先行しているセクハラやパワハラ対策だけでなく、


マタハラについても職場から無くなり、


すべての労働者長期にわたって十分に活躍できる労働環境ができるまで、どの会社にとっても大きなエネルギーが必要なのかもしれません。


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