へんてこ社労士のときどきブログ

さかべ社会保険労務士事務所オフィシャルブログ

労働基準監督官!!

昨日から師走・・・年末で多くの皆さまが忙しい月です。


このところブログの更新が不規則になってしまってすみません。


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今日の話題は、労働基準監督官です。


過重労働や未払い賃金等が社会問題化し、いわゆるブラック企業を取り締まる組織として、「労働基準監督署(以下、労基署)」は、よく知られている存在だと思います。


近頃では、労働者の権利意識が高まり、労務トラブルを抱えた働く人の「駆け込み寺」のひとつにもなっているようです。


そこに配置されている「労働基準監督官(以下、監督官)」は「労働Gメン」とも呼ばれ、大きな権限を持っています。


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監督官は「行政官」であり司法警察官」であることが、労働基準法で定められています。


例えば「行政官」としては、「臨検(事業所の立ち入り調査)」が裁判所の令状を取らなくてもできます。そして、帳簿や書類の提出を求め、使用者や労働者に尋問ができます。


国税査察官(いわゆるマルサ)も臨検、捜査および差し押さえはできますが、裁判所の許可が必要です。


また、司法警察官」としては、犯罪捜査、被疑者の逮捕および送検を行う権限があり、手錠、捕縄等を携帯することができます。平成24年の送検数は1100件を超えています。


ただし、「司法警察官」として、家宅捜査や逮捕をするときには、「警察官」と同じく裁判所が発行する令状が必要です。


事業主等は、臨検を拒否することは、原則としてできないことになっていて、法令違反等があった場合には「是正勧告」、違反ではなくても改善すべき場合は、「指導票」の交付がされる場合があります。


事業主等は、「是正勧告」等が交付された場合は、指摘された所を改善し「是正(改善)報告書」を労基署に提出することになります。


しかし、「労働Gメン」として強い権限を持つ監督官ですが、全国に430万ほどある事業場(会社等)を、約3200人の監督官で管理するというのは、かなり大変なことで時間もかかり、25年に1回程度しか事業場を臨検できないということになるそうです。


また、労働者派遣法、パートタイム労働法、育児介護休業法や労働契約法など、カバーする法律が広がり、また、メンタルヘルスや各種ハラスメント等、内容も広範囲になっています。


ですから、監督官はどんな問題にも対応できる体制ではなく、是正勧告があった事業場や労災が多い事業場など、目を付けたところに絞り込んでいく傾向があるのではないかと思います。


また、労働者などからの内部告発や相談などの「申請」についても、監督官は、必ずしも全て受けるわけではなく、担当官の内容の判断により対応するかどうかが決まるそうです。


それから、労働契約や解雇理由などのような「民事」にあたる事件の場合は、介入できないという限界もあります。


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いざとなったら、労働者にとって頼れる存在である監督官ですが、


やはり、労働関係の多くのトラブルは、原則として、労働者と事業主が話し合いながら解決していくことが望ましいのではないかと思います。