マイナンバー法の保護措置
また雨です。
被災地の方は大丈夫でしょうか?また台風20号が近づいています。
今大丈夫でも、地盤が緩んでいるので注意が必要です。
またマイナンバーについて書きたいと思います。
マイナンバーは、「社会保障」「税」および「災害対策」の分野において、個人情報を複数機関の間で紐付けるもので、住民票を持つ全ての者(外国人も)に1人1ナンバーが与えられ、生まれてから亡くなくなるまで(亡くなった後も)変わりません。
ですから、もしマイナンバーが悪用され、または漏えいした場合、個人の権利や利益が大きく侵害されるかもしれません。
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そこで、新しい「マイナンバー法(通称)」では、2003年に成立した「個人情報保護法(通称)」よりも、かなり厳格な各種の保護措置を設けています。
では、どのような保護措置なのでしょうか?
大きく分けると
① 特定個人情報(マイナンバーをその内容に含む個人情報)の利用制限
② 特定個人情報の安全管理等
③ 特定個人情報の提供制限等
の3つに分けられ、それぞれの場面において保護措置が「個人情報保護法」に比べて厳しくなっています。
① 特定個人情報の利用制限
「マイナンバー法」では、マイナンバーが利用できる範囲を「社会保障」「税」および「災害対策」に関する特定の事務に限定しています。
また例外的に利用できる範囲についても「個人情報保護法」よりも限定的に定めています。
また必要な範囲を超えた特定個人情報ファイル(マイナンバーをその内容に含む個人情報データベース)の作成を禁じています。
② 特定個人情報の安全管理措置
「個人情報保護法」では、個人情報取扱事業者に対して、個人データの安全管理措置を講ずることとし、従業員および委託先の監督義務を課しています。
一方「マイナンバー法」では、それに加えて、全ての事業者に対して、マイナンバーについて安全管理措置を講ずることとされています。
またマイナンバー関係事務またはマイナンバー利用事務を再委託する場合には委託者の許諾を要件とするとともに、委託先に対する監督義務を課しています。
例えば、事業主が、社労士に事務委託をする場合には、社労士が行うマイナンバーの安全管理措置について監督する義務が生じます。
ですから、事業主は安全管理措置をしっかり行っている社労士を選定し、業務におけるマイナンバーの安全管理措置について確認する必要が生じるかもしれません。
したがって、社労士は、業務上の安全管理措置の仕組みを確立しておく必要があると思います。
③ 特定個人情報の提供制限等
「個人情報保護法」では、個人情報取扱事業者に対し、個人データについて法令に基づく場合等を除き、本人の同意を得ないで、第三者に提供することを認めていませんが、
「マイナンバー法」の特定個人情報の提供では、利用目的が法の目的に限定されていなければ、本人の同意があっても提供できません。
また、特定個人情報は提供を法令で認められている場合を除き、他人に対しマイナンバーの提供を求めてはならず、収集や保管についても制限されています。
なお、本人からマイナンバーの提供を受ける場合には、本人確認が義務付けられています。
ところで、内閣総理大臣の所轄で内閣府の外局で、強い権限を持つ「特定個人情報保護委員会」が2014年に設置されました。
特定個人情報の取扱いに関する監視、監督を行うことになります。
この委員会は、指導・助言、勧告、命令、立入検査等、の強い権限により違反行為の中止や違反の是正ができます。
さらに「マイナンバー法」の罰則も、「個人情報保護法」の類似の刑より上限が引き上げられており、また新設された罰則等もあり、厳しくなっています。
またマイナンバーの故意の漏えい等の違反行為を行った者だけでなく、所属する漏えいした法人等についても罰則が科される「両罰規定」が適用されます。
ですから、マイナンバーの取扱いに当たっては、細心の注意を払って行う必要があると、あらためて思っています。
ところで、もし消費税増税に伴う軽減税率の給付措置でマイナンバーを使う案を採用したら、街の八百屋さん、魚屋さんなどの小売店も、100人以下の中小規模事業者としてのマイナンバー安全管理措置が適用されるのでしょうね・・・?
(ちなみに101人以上の法人や個人番号利用事務実施者等(社労士や税理士等が含まれる)は厳格な安全管理措置が必要)