働く妊婦さんやお母さんの権利
週末から街はクリスマスモードです。お店に入ればデコレーションとクリスマスソング。
でも毎年のことですが、アンケートでは自宅で過ごす「おうちクリスマス」が多いようですね。
忘年会も多い時期ですから・・・
今回は、最近、時々話題になる「マタハラ」について触れたいと思います。
平成27年1月23日、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長から通達が出されています。
「妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い(いわゆるマタハラ、マタニティーハラスメント)に関する解釈」に関することです。
どういう通達か事例で説明すると、
例えば、女性労働者が「妊娠したこと」について会社に伝えたとき、しばらくして、会社から「仕事の能力がない」等との何等かの理由によって降格されてしまったとしたら、
今までは、仮に「妊娠したことを理由とした降格ではないか」という疑いを持ったとしても、その因果関係について、被害者である女性側が立証する必要がありました。
しかし、この通達によって、
女性が降格や解雇等の不利益な取扱いを受けたときに、その前に「妊娠や出産をした事実」があれば、原則として「因果関係があると判断する」ということになります。
言い換えると、降格や解雇等の不利益取扱いがマタハラかどうかは、会社側の意図に関係なく、処分の時期と妊娠や出産との時期が近いかどうかで客観的に判断される、ということです。(原則として、妊娠・出産、育休等の事由の終了から1年以内に不利益取扱いがなされた場合)
一方、会社側に降格や解雇等を行ったことに関して合理的な理由があるのであれば、
「業務上の必要性」「特段の事情が存在すること」あるいは「本人の自由な意思に基づいて同意していること」等を会社側が証明しなければならないことになった、ということです。
もともと、妊娠や出産期の女性は精神的にも肉体的にも大変な時期であり、不満があっても女性から声を上げ難い状態でした。
しかし、この通達によって、因果関係の立証責任が無くなったため、妊娠や出産に対する理不尽な処遇によって泣き寝入りしたり、裁判で負けたりすることも今後は減るのではないかと言われています。
この通達があった背景は、平成26年10月23日の最高裁の判決です。妊娠を理由に広島県の女性を不当に降格させたことを原則「違法」とした内容でした。
厚生労働省では、不利益な取扱い(マタハラ)の事例として、
以下のような理由によって、解雇、雇止め、降格、減給、不利益な配置変更や人事考課などを行った場合は「違法」になることを周知しています。
1)妊娠中、産後の女性労働者について
>妊娠、出産
>妊婦健診などの母性健康管理措置
>産前・産後休業
>軽易な業務への転換
>つわり、切迫流産などで仕事ができず、労働能率が低下
>育児時間が必要
>時間外労働、休日労働、深夜労働をしないこと
2)育児をしている労働者(男性も該当する場合あり)について
>育児休業
>短時間勤務
>子の看護休暇
>時間外労働、深夜業をしないこと
不利益な取扱い(マタハラ)は違法であり、
行政指導や、悪質な場合は事業主名が公表されたり、仮に裁判になると、損害賠償金や慰謝料等の可能性もあります。
国としても、「女性の活躍」を推進していますので、マタハラ対策は厳しくなっていくことが想定されます。
今後も、「女性の力」はこれまで以上に貴重な戦力になると思います。
企業としても、お母さんやお母さんになる人も含めて働きやすい環境を作っていくことは、貴重な人材を維持していくためにも、益々大切になるのではないでしょうか。
sakabesharoushi.hatenadiary.jp