厚生年金加入逃れの基準?
「大寒」(1月21日)も過ぎて、まだまだ寒い日が続きます。
暖かい季節が待ち遠しいです。
今日は、最近あったニュースから。
厚生年金保険は、会社などで働いている人のための公的年金制度です。
老後の生活の安定を図るための老齢年金や、
万が一障害者になった場合、本人とその家族のための障害年金、
さらには本人が不幸にして亡くなった場合、遺族のための遺族年金
など、長期にわたる給付を行い、生活の不安を解消するための公的保険制度です。
保険料は、給与額に応じて、働いている人と会社が折半して支払う仕組みになっていて、
将来受け取る老齢年金額は、厚生年金保険が平均で月14万7千円程度、自営業者が加入している国民年金は平均で月5万4千円程度で、厚生年金のほうが国民年金より一般的に多くなります。
厚生年金保険は、原則として、株式会社などの法人、それから常時5人以上の従業員を使用する事業所で使用されている70歳未満の人(正社員や一定のパート労働者等)は、加入させなければいけないことになっています。
(要件の詳細や例外については、複雑で長くなるので、ここでは書かないことにします)
しかし、法人であったり、常時5人以上の従業員を使用する事業所であっても、厚生年金に加入していないところがあります。
厚生労働省の2015年12月の報告では、国民年金加入者1742万人のうち、約200万人の人が厚生年金に入る資格があるとのことでした。
しかも、200万人のうち約6割を20代から30代の若い人で占めている(20代が71万人、30代が52万人)のだそうです。
つまり、若い方で厚生年金に加入できるのに、加入していない実態があるということです。
若い世代の将来の生活の不安を少しでも減らすためにも、私的年金よりもはるかに好条件である厚生年金保険制度を適正に加入させるすべきだと思います。
sakabesharoushi.hatenadiary.jp
しかしながら、事業主が保険料負担を逃れるために会社が加入の申請をしていないのか、厚生年金についての知識がないのか、それとも働いている人が給料からの保険料天引きを望んでいないのか、その実態は明確ではありません。
ですから、厚生労働省では、日本年金機構が2017年度末までに、厚生年金の加入可能性のある事業所の実態を調査する方針を決めたそうです。
その際、調査を繰り返し協力を求めても応じなかったり、厚生年金保険への加入逃れをする「特に悪質な使用者」には刑事告発も検討しているようです。
刑事告発は、あくまで指導を徹底するための最終手段としての位置づけで、
その告発に踏み切るかどうかの基準も検討していることを、塩崎厚生労働大臣も述べています。
しかし、厚生年金保険や健康保険等の社会保険の保険料の負担は決して軽くありません。中小零細企業のなかには、その負担に耐えられないところもあると思います。
そのような事業所には、性急な措置ではなく、段階的に粘り強く指導を続けていくことになると思います。
ただ、若く働き盛り世代の人たちに将来の安心を与え、結果として安定した雇用となり、継続的な事業の継続的な発展を期待するのなら、厚生年金制度の適正な運用をすることは、長期的に見て会社にとってメリットになることと思います。