「あっせん」という和解による解決方法
労働者の多様化が進み、職場のトラブルも個別化し、個々の労働者と事業主との間の紛争(個別労働関係紛争といいます)が増えています。
事業主としては、職場のトラブル予防のための様々な対策をとることが最も重要です。
しかしそれでもトラブルが起こることはあると思います。
まず解決するために、労働者と事業主が何度も話し合い、互いが納得できる対策を出していくとが大切です。
それでも解決できないときには、「裁判外紛争解決手続」という方法があります。これは、裁判によることなく、公正な第三者が関与してその解決を図る手続のことです。
もし「裁判」で解決を図れば、白黒をはっきりさせることはできますが、時間とお金がたいへんかかることはご存じだと思います。
また、決着がついたとしても、紛争相手、他の労働者、お客様その他、風評等への影響は計り知れません。
できれば「裁判」などせずに解決するほうが望ましいのではないでしょうか。
「裁判外紛争手続」では、「あっせん」と「調停」という方法で解決に向けて調整します。
それぞれ解決を強制するものではなく、あくまで公正な第三者としての助言を与え、労働者と事業主の自主的な相互の歩み寄りを図ります。
「調停」では公正な第三者が原則、解決案を提示しますが、「あっせん」では任意で提示します。
しかし解決案の受諾を強制するものでもありません。いつでも双方の自発的な判断で解決策を模索していくことが可能です。
この方法で上手く解決できれば、双方のしこりは最小限で収まることが多いと思います。
「裁判外紛争手続」としては、以下の3つの方法があります。
1)都道府県労働局が実施するあっせん・調停
3)社労士会労働紛争解決センターなど法務大臣の認証及び厚生労働大臣の指定を受けた民間事業者が実施するあっせん
これらの「あっせん」及び「調整」では、「特定社会保険労務士」が、労働者または事業主の代理をすることができます。
「特定社会保険労務士」とは、紛争解決手続代理業務試験の合格し、その旨を社会保険労務士名簿に付記された社会保険労務士です。
労働者と事業主が、職場のトラブルを和解によって解決していく方法は良い方法だと思いますので、ご相談をお勧めします。
ところで、平成26年の社会保険労務士法の改正により平成27年4月1日より、
裁判所においても、労働および社会保険に関する事項について、「特定社会保険労務士」が補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述することができるようになりました。