へんてこ社労士のときどきブログ

さかべ社会保険労務士事務所オフィシャルブログ

健康は投資なんですね

昨日は、「個別労働関係紛争解決手続代理業務」を主に課題にしている勉強会に初めて参加しました。


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勉強会では「派遣労働者の雇止め」や「内縁の妻の遺族年金請求」等の事例について、特定社会保険労務士の先生方が意見交換するような内容でした。


勉強すべきことが沢山あることを、あらためて感じました。


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さて、本日の話題になります。


少し前に研修会で「協会けんぽ」の人から「健康経営」についての説明を聞きました。


調べてみると、「健康経営」というのは、経済産業省ヘルスア産業課「健康投資」ということがベースになっていることが分かりました。


「健康投資」とは、何でしょうか?


企業にとって、従業員の健康保持・増進を積極的に行うことは、医療費の適正化、企業の生産性の向上、さらには企業イメージ向上等につながることであり、


そうした取り組みに必要な経費は単なる「コスト」ではなく、将来に向けた「投資」であるという考え方です。


では「健康経営」とは?


経営者が従業員とコミュニケーションを密に図り、従業員の健康に配慮した企業を戦略的に創造することによって、組織の健康と健全な経営を維持していくこと(特定非営利活動法人健康経営研究会)


あるいは、従業員の健康増進を重視し、健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで従業員の健康の維持・増進と会社の生産性を目指す経営手法((株)日本投資信託銀行)


などと定義されているようです。


何れにしても、企業が主体となって従業員の健康増進・疾病予防に取り組むことが、結果的に企業経営に役立つという考え方が共通しています。


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三井住友ファイナンシャルグループ出資の(株)日本総合研究所が作成したデータでは、


厚生労働省健康寿命を延ばそうアワード受賞企業」、日本政策投資銀行「健康経営格付融資先企業」のような従業員の健康に投資している東証一部上場企業のインデックスと、平均的な東証一部のTOPIXのインデックスの推移を比較すると、


「健康投資」をしている企業のほうが市場に高く評価されていて、平均との差がどんどん広がってきていることが分かります。


日本だけでなく、米国で同様のデータ(Corporate Health Achievement Award受賞企業の株価と、Standard & Poor's 500 Stocks Average株価平均との比較)があるそうです。


では「健康投資」とは、どんなことをしたらいいのかということの概略ですが、


まず、健康経営の理念と方針を作って社内に示します。


次に、組織体制づくりでは、専任職員や専門資格を持つ職員を配置し、企業経営者が関与する必要があります。


企業経営者のリーダーシップのもと、人事部署、産業保健スタッフ、健康保険組合等が連携して取り組みます。


そして従業員の健康状況を把握し、課題を発見し、改善計画を立て、社員に働きかけます。


その際、健康保険組合等と適切な連携をすることが重要です。


最後に、取組みを評価し、次の計画づくりに生かします。


つまり企業経営者が主導で、従業員の健康づくりに向けて「PDCA」を回していくことです。


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確かに「健康投資」や「健康経営」は、経営に対する考え方のひとつに過ぎない、とも思います。


しかし、少子高齢化で生産年齢人口が益々減少していく現在、


労働力確保のためにも、従業員に長く働いてもらう取組みを積極的に行う必要があると思います。


そのためにも、従業員の健康を維持向上させ、意欲的に働いてもらうことが、益々重要になってくるのではないでしょうか?


ですが、中小企業にとっては負担が大きくて、実際どこまでできるでしょうか?


そこで「協会けんぽ」では、平成27年に先駆的に栃木県から「健康経営」を中小企業を中心に働きかけ、平成28年から本格的に全国に展開する予定があるそうです。


その際、社会保険労務士等は、中小企業の経営に深く関わっていることが多いので、その支援が期待されているようです。


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