「雇用されない」で働く方法とは一体?
梅雨入りまでの良い季節です。
でも晴れると異常に暑いし、曇りや雨だとチョッピリ寒い。
ゴルフにはいい季節ですけど。
「会社や上司に使われて働くのは嫌だなあ」と時々思う人はきっといますよね。
「だけど会社辞めて創業し独立するには資金やアイデアが不足だし、ハードルが高くて不安・・・」と考える人がほとんどだと思います。
でも、ここで取り上げる「雇用されない働き方」と言うは「独立開業」ではなく、
「個人が企業への従属関係によらないで自らの意思で働く」ことを言います。
少し前ですが、経済産業省の研究会が「雇用関係によらない働き方」について、研究報告書を平成29年3月14日に公表したので、どんな内容なのかそのポイントをまとめてみます。
この報告書は経済産業省の「雇用関係によらない働き方に関する研究会」から出されたもので、内容としては「提言」ですが、将来の日本の「働き方」のひとつの在り方を示しています。
この研究会が設置された背景としては、
> 少子高齢化社会が到来し、従来のような「一つの会社で一生勤め上げる」就業モデルが変わりつつあること
> 介護や出産・育児など自分の「ライフステージに合った柔軟な働き方」を選択できる社会が求められていること
> AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ロボット、ビッグデータなどの進展で、「企業単位」での仕事から「プロジェクト単位」に変化することが考えられ、技術の予見が難しい中、外部人材を活用することが求められる時代の到来が予見されること
などが挙げられています。
そして「働き方の選択肢を増やす必要性」や「働き手が企業と対等に仕事を進める利点」が述べられています。
ではここで言う「雇用関係によらない(企業の指揮命令を受けない)働き方」とは、一体、どんなイメージなのでしょうか?
ひとつの事例としては、
まず仲介業者(プラットフォーマー)に会社や働き手が登録し、
インターネット上で仲介業者が業務内容から企業と働き手をマッチングして、
会社と働き手がマッチした場合「業務契約(請負契約)」を結ぶ ことで仕事を行うという流れです。
但し、ここで注意すべき点は、もし会社と働き手が「労働契約」を結んでしまうと、仲介業者は労働基準法で禁止されている中間搾取に当たる可能性があり、職業安定法の制限を受けます。
また、仲介業者と働き手が雇用関係を結ぶことは無いので「労働者派遣」でもありません。
仮にここで例示されている「業務契約(請負契約)」を結ぶとしても、この仲介業者が利益を出して円滑な経営をするためには、労働法制の適正化が必要かもしれません。
しかし、ここで述べられている「雇用関係によらない(企業の指揮命令を受けない)働き方」が将来普及した場合には、
この方法での働き手は「労働者」ではないので、会社に対して「自律的で非従属的」な働き方ができるようになり、
一方、企業にとっては、技術予見の難しくなっていくなか、専門的な外部人材を積極的に活用し、オープンイノベーションが期待できるため、
働き手や企業の双方にとって有益になると述べています。
ここで述べられている「雇用関係にない働き手」には、企業の求めにいつでも応じられるように、常に能力・スキルを高めておく必要があり、
専門性以外にも「交渉力」「人脈」「問題解決」などの基礎力も重視されることになります。
一方「雇用関係にない働き手」は労働法制の「労働者」ではないので、働くための環境整備が未だ不十分だということも併せて指摘しています。
例えば「雇用関係にない働き手」が病気、出産・育児での休業や、受注の悪化などにより収入を失った場合、公的支援が不十分であり、新たな保険の創設の検討や休業時の補償制度の充実が必要になります。
さらに、「雇用関係にない働き手」は交渉上の立場が弱く、労働法制で守られていないので、報酬が低く抑えられ、報酬遅延のトラブルが発生する可能性があります。
また、社会的信用が低く、事業資金などの融資が得にくいため、「雇用関係によらない働き方」の地位を確立する必要があります。
ですから、もし「雇用関係によらない働き方」進めるのであれば、国に対し労働法制による「一定の保護」を受けられるよう将来的な検討を、この報告書では求めています。
また、能力・スキル形成も、本人の独学だけに頼るのでは不十分であり、
国、業界団体や仲介業者などによる効果的な教育訓練の支援も必要です。
さらに「雇用関係にない働き手」の認知度を高め、企業の活用が拡大するよう促す仲介業者の役割の重要性についても指摘しています。
如何でしょうか?
興味のある方は沢山いるかもしれませんが、なかなか厳しそうな労働環境ですよね。
今後、このような働き方が求められるとすれば、まだまだ環境整備が必要だと思います。
ちなみに「社会保険労務士」の仕事の仕方は「雇用関係によらない働き方」に近いように思えます。