へんてこ社労士のときどきブログ

さかべ社会保険労務士事務所オフィシャルブログ

志が高く優しい介護労働者・・ですが・・

今日は成人の日、3連休の最後の日の方も多いことでしょう。


それから関東では鏡開きの日で、お正月も終わります。


家庭円満を祈願し鏡餅をお雑煮やお汁粉で食べて、お正月気分を切り替える時期ですね。


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今日は「介護労働者」について書いてみます。


国の経済・財政一体改革と並行して「介護離職者ゼロの実現」を進める検討をしていることはご存知だと思います。


「介護のための不本意な離職」を解消するため、介護休業制度を拡充等を行い、多様な民間介護サービスを拡大し、地域包括ケアシステムを実効性のあるものとし、また都市部を中心とする介護施設不足など、官民が協力して対応することになっています。


しかし、昨年度までの実績では、あまり計画通りには進んでいないようです。


その理由のひとつとして、介護人材の不足が挙げられています。


実際、介護に関わっている労働者は170万人と言われ、調査に表れない人まで推定すると400万人以上もいるのではないかとも言われています。しかし、大切なのは「良質な人材の確保」なのだそうです。


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ここで、介護労働の概要を把握するために、


公益財団法人・介護労働安定センターの平成26年度(一部、平成25年度)の「介護労働実態調査」の結果をご紹介します。


まず、介護労働業界では、離職率が他の業界に比べて高く(16.5%)、その結果、採用率も高く(20.6%)なっています。離職者の約74%が勤務年数3年未満となっています。非常に労働力が流動しやすい職場だといえます。


その結果、介護サービスに従事している従業員の過不足感も、「大いに不足」、「不足」および「やや不足」を加えると59.3%となっており、実感として従業員が不足していると感じているようです。


では、労働力が流動してしてしまうのは、介護の仕事に満足感が得られないからなのでしょうか?


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ところが、労働者が介護労働を選んだ理由は、「働きがいのある仕事だと思ったから」というのが、52.6%でトップでした。
また、「資格・技能が活かせるから」が36.2%、「今後もニーズが高まる仕事だから」が35.3%となっており、意欲や向上心を持った志のある人が参入しているように思われます。


また、「人や社会の役に立ちたいから」が32.0%、「お年寄りが好きだから」が25.6%となっており、ボランティア精神がある優しい人が多いように思われます。


仕事の満足度についても「仕事の内容・やりがい」があるという人が45.3%でトップでした。


つまり、仕事自体は満足している人は多いようなのです。


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では、不満な点は一体何なのでしょうか?


「人手が足りない」が18.3%でトップでした。「人手が少ない」ので仕事がきつくなり、辞めてしまうことでまた「人手が少なく」なってしまう負のスパイラルなのでしょうか。


次に「仕事の内容の割に賃金が低い」が42.3%でした。確かにアンケート上の数字では、管理者に比べると介護労働者は、月給の実賃金で15万円ほど低いという結果になっています。


また「有給休暇が取りにくい」が34.9%ですが、シフト制で変形労働時間の職場が多いことから、実際なかなか取り難いことはあると思います。


その他にも「業務に対する社会的評価が低い」、「身体的負担が大きい」とか「労働時間が不規則、長い」なども不満な点として挙げられています。


確かに非常に厳しい仕事だと思います。


しかし、実際に前職の「介護の仕事を辞めた理由」は、


「職場の人間関係に問題があったため」が26.6%でトップでした。
労働時間が不規則で過酷であり、正規社員と非正規社員が混在し、女性労働者が約8割を占め、様々な前職と経験を持つ人達が集まっている職場で、人間関係を円滑に保つことは大変難しいことだと思います。


次いで「法人や施設・事業所の理念や運営の在り方に不満があったため」が22.7%でした。これは、意識の高い労働者の多い介護業界に特徴的な介護理由だと思います。


「収入が少なかったため」も18.3%で上位でした。潜在的には非常に大きな理由ではないかと思います。


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せっかく志高く仕事に就く人が多い介護労働業界なのですから、この貴重な人材を活かして、育てて、辞めることが無いように、より良い環境の職場をつくっていくことは、「良質な人材確保」に繋がるひとつの方法だと思います。


ですから、労働者の意欲や向上心を活かして、頑張ればステップアップできるキャリアパスをつくり、


適正な評価・賃金制度を構築し、研修やOJTによって教育する機会をしっかり与え、


働き方(労働時間管理、休暇取得、変形労働時間活用など)を適正に行い、


職場内の人間関係に注意し、ハラスメント防止対策を確実に行うことで、


長く快適に働ける職場をつくっていくことで、「良質な人材」を確保していきましょう。(後日、もう少し詳しく書きます)

2016年度の社会保障関連予算案

今日から新年の「仕事始め」の方が多いと思います。


気持ちを切り替えて、エンジンかけて、とりあえずウォーミングアップしましょう。


それとも、いきなりトップギアでしょうか?


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年の初めなので、国の予算案について書きます。


昨年末、12月24日に政府が2016年度予算案を閣議決定しました。


一般会計の総額が96兆7,218億円で、昨年より0.4%増えて、過去最大を更新したというニュースは耳にしていたと思います。


そのうち社会保障関係費は31兆9,738億円で、予算の3分の1も占めます。高齢者が増え、年金、医療や介護サービスの利用が増えているためです。


社会保障費は、昨年よりも4,412億円増えますが、


売れている医薬品等の価格の引き下げ、病院と連携した大型薬局の報酬減少、湿布薬の病院での処方の制限などで診療報酬等を抑制し、


さらに、協会けんぽの国庫負担の減額、子育て世代への給付金の廃止や、低所得者対策の福祉給付金を半減し、社会保障費の自然増部分を約1,700億円程度圧縮したと政府は述べています。


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膨らみ続ける社会保障費は、なんとか抑えていかなければなりません。


現状のままでは、予算の3分の1を超える額を国債等による借金に頼り続け、2016年度末には国の債務残高は838兆円に達する予定です。


何とか、目先の負担軽減策や選挙対策にとらわれず、社会保障費を抑える根本的な施策を打ち出せないのでしょうか?


確かに、年金や医療費などを大幅に抑制することは、国民に大きな「痛み」を伴うような改革になってしまうと思います。


また、社会保障費を補う対策であった消費税増税10%に対する「軽減税率」導入、軍事費の5兆円を超える予算、それから低所得高齢者に3万円の「臨時給付金」を出すことなども、政治としてバランスをとるために必要なのかもしれません。(是非はわかりませんが)


しかし、将来の世代(若い人や子供達)に途方もない借金を残さないことも、非常に大切なことではないかと思います。


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現行の「世代間扶養」の年金制度や、「現役の労働者に大きく依存」する医療保険制度や介護制度などは、若い世代で正社員として働ける人が大きく減少したことで、永続的に続くと考えられていた仕組みが崩れ始めています。


当面は、少子化を食い止めて、できるだけ現役で長くしっかり働ける人を増やしていくことが 、増え続ける社会保障費の抑制につながるのではないかと思います。


そのためにも日本経済の再生は欠かせません。


また、安倍政権の「希望出生率1.8」、現役労働者を減らさないためにも「介護離職ゼロ」は是非進めてほしいですし、「一億総活躍社会の実現」も、多くの様々な人が現役で長く働けるのであれば、社会保障費の増加を抑制できるのではないかと思います。(批判も多いようですが)


将来の世代に大きな負の遺産を残さないためにも、何とか・・・

社労士としての原点に

明けましておめでとうございます。


2016年が始まりました。


また新たな気持ちで、希望に溢れた未来に向けて、


社会保険労務士として、少しでも世の中のお役に立てるように行動していきたいと思います。


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新年ですので、原点に戻ったテーマで書きます。


社会保険労務士法(昭和43年6月3日制定)という法律があります。


この法律の第1条に、社会保険労務士制度の目的があります。


「この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もって労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。」


ですから、社会保険労務士は、法令に則って適正に業務を遂行することで、事業主を支援し事業の成長に寄与することはもちろん、労働者等の労働環境をより良くしていくことも非常に大切な使命だと認識しています。


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第1条の2には、社会保険労務士責務が定められています。


社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行われなければならない。」


「品位」というのは難しいですが、民法にある「信義則」の意味も含んでいて、


「人を信頼を裏切らず、不正なことことはしない行動をとり続ける姿勢」だと認識しています。


そして、社会保険労務士は「公正で誠実に業務に取り組まなければならない」と規定されています。


もちろんそれを支える「労働や社会保険に関する法令の知識のみならず、その実務の知識」についても精進して常に勉強し続けることが課せられているということだと思います。


どんな仕事でも同じだと思いますが、


真面目に誠実に、人からの信頼を得られるように仕事に対して取り組む」ことを、


あらためて、肝に銘じたいと思います。


本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

妊娠・出産・育児をしながら働く女性のための制度

2015年も残り少なくなりました。


もう休暇を取っている方もいるでしょうし、年末年始も関係なく、お忙しく働いている方もいらしゃると思います。


寒いですが、身体に気を付けて元気で頑張ってください。


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今日は、前回のブログに続く内容です。


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今回のブログのテーマは、「妊娠・出産・育児をしながら働く女性を支援する制度」にしたいと思います。


ここでは、原則として継続して働いている女性労働に対して、法令で定められている制度について要点を列挙します。(それぞれの詳細については長い文章になるので省きます)


ですから、下記について会社が従業員に対して行うべき制度として、おそらく就業規則には記載されていると思います。


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【職場生活での母性保護に関すること】


>時間外労働、休日労働、深夜業の制限、変形労働時間制の制限(労働基準法第66条)


妊娠している女性は、体調が不安定なことから、時間外労働、休日労働、深夜業および変形労働時間について免除を請求できることになっています。


>軽易業務への転換(労働基準法第65条)


妊娠中は、肉体的負担が大きい業務(例えば1日中売り場に立っている等)の場合は、他の軽易な業務への転換するよう会社に請求できます。


>危険有害業務の就業制限(労働基準法第64条)


一定以上の重量物の取り扱いや、生殖毒性等を有する有害物質が一定濃度以上に発散する場所等での業務については、妊娠、出産機能等に有害なので、妊娠の有無や年齢等によらず全ての女性を就労させることは禁止されています。


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【産前・産後休業、育児休業に関すること】


>産前・産後休業(労働基準法第65条)


使用者は、6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産する予定の女性が請求したときや、産後8週間を経過しない女性を就業させてはいけないことになっています。
(特に、産後6週間は強制休業です。ただし、それ以降は本人が請求し、医師が支障なしと認めれば働けます)


パートやアルバイト等の女性も産前・産後休業を取得できます。


産前・産後休業中の賃金については労働基準法では会社に義務付けていませんが、健康保険の被保険者であれば出産日以前42日から出産日後56日まで「出産手当金」が支給されることが定められています。


「出産手当金」は標準報酬月額の3分の2に相当する額になりますが、


会社から給与の全部か一部が支払われているときは支給されません。しかし給与で支払われた額が「出産手当金」より少ない場合は、その差額が支給されます。


>産前・産後休業中の社会保険料(健康保険、厚生年金、介護保険)の免除
(平成24年8月公的年金制度の財政基盤および最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律


会社が全国健康保険組合健康保険組合に申し出れば、女性従業員だけでなく会社も免除されます。


>解雇制限(労働基準法19条)


産前・産後休業の期間及びその後30日間の解雇は禁止です。


出産育児一時金(健康保険法101条)


健康保険の被保険者が出産した場合は、一児の出産につき原則42万円が支給されます。(双子なら84万円)


母体保護が目的なので、妊娠85日以上であれば、死産、流産、人口妊娠中絶でも支給され、また父不明の婚外子出産についても支給されます。


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>育児休業(育児・介護休業法第5条~第9条)


従業員が会社に申し出れば、子が1歳になるまで(またパパが育児休業を取得する場合は、子が1歳2カ月になるまでの1年間)の間、育児休業を取ることができます。


もし1歳になっても待機児童で保育所が決まってなかったり、万が一、1歳になる前にママが亡くなってしまった場合などは、申出によって1歳6カ月になるまで育児休業をとることもできます。


育児休業中は、有給かどうかは会社によって異なりますが、雇用保険の一般被保険者で被保険者期間等の要件や一定の手続きを充たせば「育児休業給付金」が給付されます。


「育児休業給付金」は1歳未満の子の育児休業を取得した等の一定要件を満たした場合、原則として休業開始時の賃金月額の67%が支給されることになっており、6カ月経過後は50%になります。


>育児休業中の社会保険料(健康保険、厚生年金、介護保険)の免除(健康保険法159条)


会社が全国健康保険組合健康保険組合に申し出れば、従業員も会社も免除されます。

 
育児休業は正社員だけでなく、パートやアルバイト等でも取得できますし、


契約期間が決まっていても、1年以上同じ会社で継続雇用されていて、子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる場合は、育児休業は取得できます。


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【産後休業後の復職に関すること】


>時間外労働、休日労働、深夜業の制限、変形労働時間制の制限(労働基準法第64条)
>危険有害業務の就業制限(労働基準法第66条)


産後1年を経過しない女性には、妊娠している女性と同様に、上記労働制限が適用されます。


>育児時間(労働基準法第67条)


生後1年に達しない子を育てる女性は、1日2回各々少なくとも30分間の育児時間を会社に請求することができます。


>母性健康管理措置(男女雇用機会均等法第12条、第13条)

産後1年を経過しない女性は、医師等から指示があったときは、健康診査に必要な時間の確保を、会社に申し出ることができます。


また、指導を受けた場合には、必要な措置を受ける時間も確保することができます。


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【子が1歳になった後も利用可能な制度】


>短時間勤務制度(育児・介護休業法第23条)


会社は、一定の条件を満たす3歳未満の子を養育する男女の従業員について、短時間勤務制度(1日原則として6時間)を設けなければならないことになっています。


>所定労働時間の制限(育児・介護休業法第16条)


会社は、一定の条件をを満たす3歳未満の子を養育する男女の従業員から請求があった場合は、所定外労働をさせてはならないことになっています。


>子の看護休暇(育児・介護休業法第16条)


小学校入学前の子を養育する従業員は、会社に申し出ることにより、


年次有給休暇とは別に、子が1人なら1年につき5日まで、子が2人以上なら10日まで、病気やケガをした子の看護、予防接種及び健康診断のために休暇を取得することができます。


ただし、有給か無給かは会社の定めによります。


>時間外労働、深夜業の制限(育児・介護休業法第17条)


小学校入学前の子を養育する一定の従業員から、会社に請求があった場合は、


1カ月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはならないことになっています。また深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させてはならないことになっています。



このように、働く女性が、赤ちゃんを産んだり育てたりする負担を軽減させて働きやすい環境をつくるように、いくつもの制度が法律で定められています。


しかし、このような法律や制度をご存知でない方もいらっしゃると思いますので、より良い労働環境に向けてご参考にしていただければと思います。


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働く妊婦さんやお母さんの権利

週末から街はクリスマスモードです。お店に入ればデコレーションとクリスマスソング。


でも毎年のことですが、アンケートでは自宅で過ごす「おうちクリスマス」が多いようですね。


忘年会も多い時期ですから・・・


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今回は、最近、時々話題になる「マタハラ」について触れたいと思います。


平成27年1月23日、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長から通達が出されています。


妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い(いわゆるマタハラ、マタニティーハラスメント)に関する解釈」に関することです。


どういう通達か事例で説明すると、


例えば、女性労働者が「妊娠したこと」について会社に伝えたとき、しばらくして、会社から「仕事の能力がない」等との何等かの理由によって降格されてしまったとしたら、


今までは、仮に「妊娠したことを理由とした降格ではないか」という疑いを持ったとしても、その因果関係について、被害者である女性側が立証する必要がありました。


しかし、この通達によって、


女性が降格や解雇等の不利益な取扱いを受けたときに、その前に「妊娠や出産をした事実」があれば、原則として「因果関係があると判断する」ということになります。


言い換えると、降格や解雇等の不利益取扱いがマタハラかどうかは、会社側の意図に関係なく処分の時期と妊娠や出産との時期が近いかどうかで客観的に判断される、ということです。(原則として、妊娠・出産、育休等の事由の終了から1年以内に不利益取扱いがなされた場合)


一方、会社側に降格や解雇等を行ったことに関して合理的な理由があるのであれば、


「業務上の必要性」「特段の事情が存在すること」あるいは「本人の自由な意思に基づいて同意していること」等を会社側が証明しなければならないことになった、ということです。


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もともと、妊娠や出産期の女性は精神的にも肉体的にも大変な時期であり、不満があっても女性から声を上げ難い状態でした。


しかし、この通達によって、因果関係の立証責任が無くなったため、妊娠や出産に対する理不尽な処遇によって泣き寝入りしたり、裁判で負けたりすることも今後は減るのではないかと言われています。


この通達があった背景は、平成26年10月23日の最高裁の判決です。妊娠を理由に広島県の女性を不当に降格させたことを原則「違法」とした内容でした。


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厚生労働省では、不利益な取扱い(マタハラ)の事例として、

以下のような理由によって、解雇、雇止め、降格、減給、不利益な配置変更や人事考課などを行った場合は「違法」になることを周知しています。


1)妊娠中、産後の女性労働者について
>妊娠、出産

>妊婦健診などの母性健康管理措置

>産前・産後休業

>軽易な業務への転換
 
>つわり、切迫流産などで仕事ができず、労働能率が低下

>育児時間が必要

>時間外労働、休日労働、深夜労働をしないこと


2)育児をしている労働者(男性も該当する場合あり)について

>育児休業

>短時間勤務

>子の看護休暇

>時間外労働、深夜業をしないこと


不利益な取扱い(マタハラ)は違法であり、


行政指導や、悪質な場合は事業主名が公表されたり、仮に裁判になると、損害賠償金や慰謝料等の可能性もあります。


国としても、「女性の活躍」を推進していますので、マタハラ対策は厳しくなっていくことが想定されます。


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今後も、「女性の力」はこれまで以上に貴重な戦力になると思います。


企業としても、お母さんやお母さんになる人も含めて働きやすい環境を作っていくことは、貴重な人材を維持していくためにも、益々大切になるのではないでしょうか。


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社会人の基礎力とは?

初めてゴルフのプロから指導を受けました。


ちょっと見てもらい、スウィングを矯正されましたが、的を得ていてすごく納得感がありました。


「さすがプロ」という感じ。若いのに凄いなあ。


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ところで、


会社が求人する場合、主にその会社で必要とされる条件、例えば特有の技術やスキル等の能力を期待し、応募者の書類や面接でそれを判断して採用していると思います。


しかし、採用する人材には、是非、備えていて欲しい能力というものがあります。


そのひとつが「社会人基礎力」と言われる能力です。


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経済産業省が、平成18年2月に産学の有識者による委員会(座長:諏訪康雄法政大学大学院教授)において、


「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」というものを


下記の3つの能力(12の能力要素)からなる「社会人基礎力」として定義しました。


「3つの能力」とは、


1)前に踏み出す力(アクション)
   一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力


2)考え抜く力(シンキング)
   疑問を持ち、考え抜く力


3)チームで働く力(チームワーク)

   多様な人々とともに、目標に向けて協力する力


そして、「3つの能力」には、以下の12の能力要素が含まれています。


1)前に踏み出す力(アクション)

① 主体性   ・・・ 物事に進んで取り組む力


② 働きかけ力 ・・・ 他人に働きかけ巻き込む力


③ 実行力   ・・・ 目的を設定し確実に行動する力


2)考え抜く力(シンキング)

④ 課題発見力 ・・・ 現状を分析し、目的や課題を明らかにする力


⑤ 計画力   ・・・ 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力


⑥ 創造力   ・・・ 新しい価値を生み出す力


3)チームで働く力(チームワーク) 


⑦ 発信力   ・・・ 自分の意見を分かり易く伝える力


⑧ 傾聴力   ・・・ 相手の意見を丁寧に聴く力


⑨ 柔軟性   ・・・ 意見の違いや立場の違いを理解する力


⑩ 状況把握力 ・・・ 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力


⑪ 規律性   ・・・ 社会のルールや人との約束を守る力


⑫ ストレスコントロール力 ・・・ ストレスの発生源に対応する力


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経済産業省で提案した「社会人基礎力」は、本屋に並ぶ多くの著名な先生方のビジネス指南書に書かれていることのように、


「目から鱗の落ちるような内容」ではありませんが、


「普遍的なこと」ではないかと思います。


長く社会人をやっていると、これらの能力は「社会人として働くのに必要なことばかり」だと実感します。


でも「社会人基礎力」に挙げられている能力は教わって身に付くというより、


もともと個性として備わっていたり、


失敗を経験をしながら、自分自身で気付いて、悩んで、考えないと身に付かないような能力のように思われます。


「社会人基礎力」は、採用後の会社の教育訓練で伸ばしていくには限界があるとも言われているようです。


そう考えると、採用する段階で「社会人基礎力」の高い人を採用したいとは思われる方が多いと思いますが・・・


実際、そのような能力を全て兼ね備えているような人はごく稀と思いますし、なかなか自分の会社に来てくれないかもしれません。


ですから採用面接では「社会人基礎力」を自ら改善する意欲とその潜在能力があるかを見極めることが大切ではないでしょうか?


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文章を書きながら、自分自身も「社会人基礎力」が不足していることを感じています。


これからも自分をどんどん変えていかないと・・・


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知らないうちにブラック企業に

雨が強く降って、暖かくなって、強い風が吹いて、急に寒くなって・・・変な天気でした。


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ところで、大手居酒屋チェーンが、子会社の新入社員の過労死自殺を会社の責任と認め、和解したことがニュースになりました。


女性は入社後1カ月間の時間外労働が114時間(過労死認定ラインは1カ月では100時間)、午後3時頃出社して翌朝3時半頃退社ですが、タクシー帰宅は認められず、始発電車まで店内で時間をつぶしてから帰宅。2か月間で休みは4日間。


その間に、自己啓発という研修でレポート提出や理念集の暗記等も指示されていたとのことです。


希望を抱いて入社し、僅か2カ月後に亡くなってしまいました。


極めてひどい労働環境です。痛ましいことです。


この居酒屋チェーンは、近年「ブラック企業」のひとつとして批判が広がっていました。


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ところで「ブラック企業」という言葉は、一般的には労働者を長時間働かせる企業や、パワーハラスメント等で労働者を精神的に追い込む企業等に対して使われると思います。


企業にとっては、一度ブラック企業などと報道されてしまうと、企業に大きなダメージを受ける可能性があります。


例えば


1)企業イメージの低下

>顧客離れによる売上減少

>新規採用に悪影響


2)従業員の健康状態の悪化
>生産性の低下

安全配慮義務違反による訴訟リスク


3)社内全体の士気の低下

離職率の上昇

>労使紛争の増加


また訴訟になった場合には、居酒屋チェーンのように損害賠償が懲罰加算で通常の2倍(1億3400万円)になるだけでなく、他の社員の未払い残業代等の多額な賠償が加わります。さらに、他の労働者からの訴訟が続く可能性があります。


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多くの企業では、「従業員を大切にする経営」をしています。


そして労働法令を遵守し、適正な労務管理をしていると思います。


しかし、一部の悪徳企業では、それを意識的に怠っていたり、


また仕事に厳しく真面目な企業でも、従業員に対し「昔はこんなの当たり前だった」とか「根性が足らん」ということで、無意識のうちにブラック化していくこともあり得ます。


ですから厚生労働省労働基準局)でも、ブラック企業」に対する監督指導を強化しています。


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具体的には「過重労働解消キャンペーン」という重点監督指導が、平成26年と平成27年の11月に行われました。


この監督指導では、特に

「長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場」

離職率が極端に高いなど若者の使い捨てが疑われる事業場」

などが対象になりました。


平成26年11月の監督指導では、4,561事業場が対象となり、そのうち3,811事業場(83.6%)で労働基準関係法令で違反がありました。


主な違反内容としては、「違法な時間外労働」が2,304事業場(50.5%)、「賃金不払い残業」が955事業場(20.9%)でした。


それらの事業場に対して、是正・改善に向けた指導が行われたそうです。


平成27年11月の結果についてはこれからですが、おそらく今後も行政側の指導も強化されてくると思います。


多くの企業にとっては当たり前のことだと思いますが、


今後も労働法令を遵守して適正な労働管理を行うことは、重要な経営事項となっていくことと思います。


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