「楽隠居」を夢見る時代ではないですよね
暖かくなってきて、少し天気が不安定です。
でも春の息吹きがあちこちで見られて、少し嬉しくなります。
さて、今回は雇用保険法等の改正法案について書きます。
近年、少子高齢化による「労働力人口」が減少するなか、今後、高齢者や女性などの就業率を引き上げることが重要な課題だと思います。
政府は1月29日「雇用保険法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し国会に提出しました。
この改正法案は政府の「一億総活躍社会の実現」に向けた改革のひとつだそうです。
高齢者雇用の一層の推進、育児・介護休業に関する制度の見直し、労働者の離職防止や再就職促進に向けた法律改正です。
具体的には、
【1.失業等給付の保険料率の引き下げ】
(徴収法、2016年4月1日施行予定)
雇用情勢が改善し、失業等給付の積立金残高が6兆円を超えたため、
雇用保険料率を、現行の1.0%から0.8%に引き下げます。
【2.高年齢者の希望に応じた多様な就業機会の確保と就業環境の整備】
(雇用保険法、徴収法、高齢法、2017年1月1日施行予定)】
これまで雇用保険から除外されていた65歳以降に新たに雇用される高齢者が雇用保険の適用対象となります。
そして65歳以上であっても、失業した場合、高年齢求職者給付金が支給され、教育訓練給付金、育児休業給付金、介護休業給付金の支給対象になります。ただし、企業の負担増を考慮して、保険料は2019年度分までは免除することになります。
シルバー人材センターの取り扱い業務は、これまで「臨時的・短期的(おおむね月10日まで)または「軽易な業務」(おおむね週20時間程度まで)に限定されていましたが、
派遣・職業紹介に限り、週40時間まで就業が可能になります。
これらは高齢になってからも働き続ける環境づくりです。
【3.育児休業・介護休業等の制度の見直し】(育児・介護休業法、雇用保険法、2017年1月1日施行予定)
育児休業の対象となる「子」の範囲が拡大します。特別養子縁組(家庭の事情によって養親が戸籍上の親になり、実親との関係が無い養子縁組)の「子」等も対象になります。
育児休業の申出ができる有期契約労働者の要件が緩和されます。
子の看護休暇は、現行では小学校就学前の子を養育する労働者が、自業主に申し出ることで1年度に5労働日(子が2人以上の場合は10労働日)を限度として取得できる休暇ですが、これが半日単位で取得できるようになります。
それから、介護休業はこれまで対象家族1人につき、93日を限度に1回の取得しか認められていなかったのですが、通算93日を3回まで分割取得が可能になります。
また介護中の労働者が、介護のために所定時間外労働の免除を請求した場合、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定時間外の労働をさせることはできないことになります。
介護休暇(介護休業ではありません)は、介護中の労働者が事業主に申し出ることにより、1年度に5労働日(対象家族が2人以上の場合は10労働日)を取得できることになっていますが、これが半日単位で取得できるようになります。
介護休業給付の給付率は賃金の40%ですが、これを67%へ引き上げます。
また、職場のマタハラ等を防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務づけることになります。
これらは育児や介護している労働者の離職防止対策のひとつだと思います。
【4.その他】
(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、雇用保険法、2017年1月1日施行予定)
失業等給付の受給者が早期に再就職した場合に支給される再就職手当の受給率が上げられます。
支給日数を3分の1以上残して再就職した場合は残日数の60%(現行50%)、3分の2以上残して再就職した場合は残日数の70%(現行60%)となります。
これらは早期に再就職することを促進する対策のひとつです。
また求職活動支援費として、例えば、就職面接のための子の一時預かり費用などの求職活動に伴う費用について、新たに給付の対象になります。
「一億総活躍社会の実現」には賛否両論ありますが、
今後、多様な働き方が可能になる社会に変えていくことは重要なことだと思います。
また、少子高齢化と人口減少でどの業界でも労働力が不足している現状では、老若男女ともそれぞれの生活に合わせて、できるだけ働く必要が益々高まってくると思います。
将来は年金生活も厳しいので、高齢になっても働き続ける人は増え、
以前のように悠々自適に老後を過ごせるような人は、ほんの一握りになるかもしれません。
でも「健康で働けるうちは、できるだけ働き続ける」ことも悪くないのかなあ・・・
「同一労働同一賃金」への課題
前回のブログから、少し間が空いてしまいました。
いつも読んで頂いている皆さまには、大変感謝しております。
私事ですが、実母が亡くなりました。最後まで病床から、私に「風邪ひかないようにね」と言うような人でした。
申し訳ありませんが、今後も少しの間、ブログの記載が変則的になるかもしれません。
今回は、最近また話題になっている「同一労働同一賃金」について書きます。
安倍首相が1月22日の施政方針演説で「同一労働同一賃金」の実現を目指すと表明しました。
そして、「一億総活躍大臣」も、その実現に向けて具体案を議論していく方針を示しました。
さらに2月5日の衆院予算員会でも、首相はその「法制化」の可能性について述べました。
ご存知のとおり「同一労働同一賃金」とは、正規雇用、非正規雇用を問わず、同じ仕事には同じ賃金を払うということです。
当然のように思えますが、残念ながら日本ではそのようにはなっていません。
いくらでも事例はありますが、一例を挙げれば、
工場の同じ生産ラインで、非正規の期間雇用の従業員と正社員が同じ仕事をするようなケースが見られますが、
正社員のほうが賃金がかなり高いことが多いと思います。
欧米などでは、「同一労働同一賃金」の原則は一般的に導入されているそうです。
それは歴史的に、欧米の雇用は「職種」を基本とした労働市場があり、
労働者は企業が求めている特定の職種や役職に応募し、採用されればその職種や役職で働き、そして必要なくなれば退社します。
さらにキャリアアップを求めるなら、自分にふさわしい職種や役職にまた応募し、チャンスを掴む努力をするのが当たり前という前提があります。勤続年数による昇給はないので「同一労働同一賃金」になっていくのです。
しかし、日本の雇用は歴史的に「就社」であり、「企業のメンバーになる」という仕組みです。
メンバーになると雇用継続が保証される代わりに、企業内でどんな仕事でも、どんな場所でも働くことになります。そして勤続年数に応じて昇給していきます。
つまり企業のメンバーである期間が長い(ベテラン正社員)ほど賃金は高く、逆に、メンバーの期間が短い(若い正社員)ほど低くなり、
メンバー(正社員)でないビジター(非正規労働者)はさらに賃金が低くなるということになります。
ですからメンバーとしてのキャリアの違いで、たとえ同じ仕事をしたとしても同じ賃金にはならない、ということになってしまうのです。
いわゆる「年功序列」です。
このように欧米とは異なる歴史的背景をもつ日本の労働環境に、全く異文化の「同一労働同一賃金」という考え方を導入するわけですから、
かなり高いハードルがあると思います。
もちろん、仮に正社員と非正規労働者が、一見、同じ仕事をしていたとしても、
正社員の場合は、
突発的な事態や繁忙期には責任をもって長時間働くことが当然に求められ、
懇親会などの日々の業務に無関係な情報交換にも参加することが暗黙の了解になっていたり、
共同体の団結のための研修への参加が義務付けられていたり、
人事異動は辞令1枚でどこにでも行かねばならず、
会社への忠誠心を強く求められていると思います。
一方、非正労働者は、必ずしもそのような義務や重荷を負うことは多くないかもしれません。
ですから、何をもって「同一労働」にするのかということは大変難しい問題であり、しっかりと決めておく必要があると思います。
他にも解決すべき課題はあります。
同一労働をする正社員と非正規労働者の賃金を近づける場合、企業の経営上、総人件費が上げられないのであれば、非正規労働者の賃金を上げると、正社員の賃金を下げざるを得なくなります。
また非正規労働者の賃金を上げて、総人件費が大きく増える場合、非正規労働者の多い中小企業では、人件費負担が中小企業を中心に経営に打撃を与える懸念もあります。
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以前、上記のブログで書きましたが、既に9月に「同一労働同一賃金推進法」が参議院で採決されています。
その際は、労働者派遣法改正案の対案として、民主党と維新の党などが共同で提出し、
紆余曲折の結果、施策の実施が遅延され、法制化という強い拘束力を持たない法案として成立しました。
しかし今回は、与党による参院選を睨んだ野党対策として、これまで以上に踏み込んでいます。
もし「同一労働同一賃金」が普及すれば、非正規労働者の賃金が上がり、結婚・子育て支援につながる可能性があるだけでなく、消費の拡大効果も期待でき、経済に好影響があるかもしれません。
「一億総活躍」や「アベノミクス推進策」のひとつとして「同一労働同一賃金」を目玉政策としているとも言われていますが、
政府がやると言った以上は、不公平感のない仕組みをつくってほしいと思います。
しかし、そのためには雇用制度について抜本的に変えるくらいの強い意志がないとできないと思います。
繰返しになりますが、ハードルはかなり高いと思います。
経団連も政府に歩調を合わせているようですが、
日本の産業を支える大切な中小企業でも納得して導入できるような仕組みでないと、実現は難しいと思います。
しかし「労働者を公正に処遇する」ことは大変重要なことですから、
社会全体で雇用制度を改めて見直すことができる良いチャンスが来たのではないかと思っています。
子育てパパも休めるんです
春一番や、花粉症の季節・・・
だんだん暖かくなる、いい季節なんですけどね。
ところで、
最近、某「イクメン」国会議員が「育児休業」を取得すると申し出て話題になり・・・
別件で週刊誌にスクープされ、辞職に追い込まれたことはご存知だと思います。
この事件で、子育てするパパが「育児休業」を取り難くならないことを望みます。
少子化の進行を少しでも抑え、また働き盛りの女性が離職することを防ぐため、
仕事と育児の両立をできるように、
育児をする労働者が休業を取得できる「育児休業」と
休業中の所得を補てんする「育児休業給付金」という仕組みがあります。
これらは法律によって定められており
「育児・介護休業法」では、働くママだけでなく、働くパパも「育児休業」できるとされ、
また「雇用保険法」で、働くママやパパの所得を補てんする「育児休業給付金」が支給されることになっています。
以下、2つの法律についてまとめてみます。
〇 育児・介護休業法
働くパパと働くママは、1歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、「育児休業」を取ることができます。
そして働くパパは、ママの産後8週間以内に一回目の「育児休業」を取れば、その子が1歳になるまでの間に、もう一回「育児休業」できます。
つまり、働くパパは2回「育児休業」できる場合があるのです。
ただし、休業開始の1か月前までに、開始予定日と終了予定日を事業主に申し出ておかなければなりません。
それから、もし保育所での保育を申し込んでいても、1歳になってもまだ入園が決まっておらず、休業が1歳になるまで続いてしまった場合などは、
事業主に申し出ることで1歳6カ月に達するまで「育児休業」を延長することができます。
「育児休業」は、正社員だけのものではありません。
有期雇用の労働者であっても、1年以上継続して雇用されていて、
養育する子が1歳になった後も引き続き雇用が見込まれる場合は、
「育児休業」の申し出ができます。
事業主は、申し出があった場合、法律上、「育児休業」を拒むことはできないことになっています。
しかし中小企業においては、このような「育児休業」の仕組みは経営上、負担が大きいと思います。
でも、優秀な人材の採用、貴重な人材の離職の防止、また社員の会社への信頼と安心感を高めることにも役立つと考えられ、
長期的に見れば、会社にとってのメリットは大きいと思います。
〇 雇用保険法
雇用保険の被保険者であるパパとママは、養育する子が1歳(一定の場合1歳6カ月)に満たない間、
「育児休業」をした場合に「育児休業給付金」が支給されます。
ただし要件があります。
>育児休業開始前の2年間で被保険者期間が通算して12カ月以上あること。
>育児休業期間中の各1カ月ごとに、休業開始前の1カ月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと。
>就業している日数が各支給単位期間(1カ月ごとの期間)ごとに10日(10日を超える場合、
就業している時間が80時間)以下であること
を満たす場合に支給されます。(詳細は省略しました)
「育児休業給付金」の支給額は、支給対象期間(1カ月)当たり、
原則として休業開始時賃金日額☓支給日数の67%(※)(「育児休業」の開始から6カ月経過後は50%)相当額
となっています。
※ 平成26年4月1日以降に「育児休業」を開始した方が対象
「育児休業」している間に、7割弱の所得の補てんは小さくないと思います。
働くパパ、働くママともに「育児休業」を取得する場合は、養育する子が1歳2カ月に達する日の前日までの間に、1年(※)まで「育児休業給付金」が支給されます。
※出産日(産前休業の末日)と産後休業期間と育児休業給付金を受給できる期間を合わせて1年です。男性の場合は、育児休業給付金を受給できる期間が1年となります。
このように、法律によって働くママを支援し、働くパパも育児ができる環境を整える仕組みが作れるようになっています。
ですから仕組みを活用する方が増え、働きやすい職場がつくられ、労働力の質が向上して会社の業績が上がるなど、少しでも効果が上がることに期待したいと思います。
こんな休暇制度をご存知ですか?
今週は「建国記念の日」があります。
天皇家初代の神武天皇が即位した日で、「紀元節」という祝日だったそうです。
お出かけの方は「早春の息吹」が感じられる季節かもしれません。
話題は大きく変わりますが・・・
最近も痛ましい事件や大きな事故が多いですよね。
被害者や被害者のご家族・親族の方のお気持ちはお察ししても余りあるほどのものだと思います。
しかし、悔しい悲しい現実を悲観している時間はあまり無いのです。
事件や事故の直後は、警察の事情聴取、証拠提出などで警察署に出向かなければならず、また病院で診察を受けたり看護したりするなど、これらの対応で被害の直後から様々な手続きなどに時間を割かなくてはならない状況に置かれます。
また裁判が始まると、裁判所への出頭・傍聴や、弁護士との相談・打合せが必要となる場合もあります。多い場合は1年に10回以上裁判が行われる場合もあるなど、
年次有給休暇だけでは対応できない場合も多いそうです。
被害者や被害者の家族・遺族は、それまでの生活を維持し続けなければならず、
怪我の治療・看病、そして加害者側との戦いも同時並行で行わなければなりません。
しかも追い打ちをかけるように、周囲の無責任なうわさ話やマスコミの取材、報道による精神的なダメージを受けることもあります。
しかし、どんなに精神的・肉体的な疲労があっても、職場では他の社員と同じように仕事をしていくことが期待されます。
何の落ち度もない普通の人が、事件や事故の被害者になった途端に、平穏な生活が激変してしまうのです。
その結果として、
心身の不調により病気になってしまったり、欠勤により失職し経済的困窮に陥ってしまったりすることもあります。
そこで、このような二次被害を少しでも軽減するために、
厚生労働省で、「特に配慮を必要とする労働者に対する休暇制度の普及のための広報事業」で
「犯罪被害者の被害回復のための休暇」を提案しているそうです。
この休暇は、年次有給休暇や育児・介護休暇のような「法定休暇」ではなく「法定外休暇」です。
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事業者の事情により任意で導入できますが、導入の方法としては、
新たな休暇制度として導入しなくても、それぞれのケースに応じて「必要な休暇を付与する旨を周知する」方法でもいいそうです。
経営事情にもよりますが、従業員に安心して働いていただくのにお役に立つ仕組みではないでしょうか?
会社でも「いじめ問題」が多いんですよ!
もう2月、如月(きさらぎ)になってしまいました。
今年は2月3日が「節分」です。4日は「立春」で「暦の上では春」になりますね。でも、まだ寒さが続くかもしれませんが・・・
少し前になりますが、厚生労働省は2015年6月12日に「平成26年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。
聞きなれないとは思いますが「個別労働紛争解決制度」というのは、
個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などのトラブルを未然に防止し、早期に解決を支援する仕組み です。
都道府県労働局長、紛争調整委員会や労働の専門家(一部の社労士も)などが「助言・指導、あっせん」などによって解決を図るものです。
厚生労働省が公表した内容を見ると、個別労働紛争の相談件数は「いじめ・嫌がらせ」が3年連続トップでした。
労働相談件数23万8,806件のうち「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は6万2,192件で、前年の59,197件より増加しています。
以前は「解雇」とか「労働条件の引き下げ」などに関する相談件数の方が多かったのですが、最近の雇用情勢の改善等の影響もあるかもしれませんが、代わって「いじめ、嫌がらせ」がトップになっています。
学校の「いじめ」は現代の社会問題としてクローズアップされることが多いのですが、
実は社会人になってからも、意外に「いじめや嫌がらせ」の問題が多いといことが分かります。
最近は「いじめ」に繋がるような「セクハラ」については、
男女雇用機会均等法等で企業名公表など「罰則」があり、
また、「パワハラ」についても、職場環境に悪影響を及ぼすことから、
多くの会社では、これら「ハラスメント」については厳しく対応し始めていると思います。
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おそらく最近、会社の「就業規則」にセクハラ防止の条項があるのを、ご覧になっている方も増えていると思います。
近頃では「マタハラ」(妊娠出産をきっかけに嫌がらせ等を受ける)なども問題になっています。
厳しい労働環境のもとで、様々な人が混在する職場では、これからまだまだ「いじめ」に繋がるような新しい「・・ハラ」が出てくるかもしれません。
対策として最も大切なことは、職場の良好な人間関係を作っていくことですが、
そのためには、「管理監督者や従業員の教育指導」は欠かせないと思います。
また、会社として「いじめや嫌がらせ行動」に対する「毅然とした態度」を示すことも大切であり、
適正な行動規範と、守るための懲罰規定をつくる必要があるかもしれません。
それは結果として、士気やモラルの高い職場作りに結びつき、会社の業績向上を目指す土台になると思います。
また今後、人材の多様化(高齢、女性、国籍等)や境遇の多様化(育児、介護等)が進めば、職場で「お互いの心を思いやること」がもっと求められるようになるかもしれません。
厚生年金加入逃れの基準?
「大寒」(1月21日)も過ぎて、まだまだ寒い日が続きます。
暖かい季節が待ち遠しいです。
今日は、最近あったニュースから。
厚生年金保険は、会社などで働いている人のための公的年金制度です。
老後の生活の安定を図るための老齢年金や、
万が一障害者になった場合、本人とその家族のための障害年金、
さらには本人が不幸にして亡くなった場合、遺族のための遺族年金
など、長期にわたる給付を行い、生活の不安を解消するための公的保険制度です。
保険料は、給与額に応じて、働いている人と会社が折半して支払う仕組みになっていて、
将来受け取る老齢年金額は、厚生年金保険が平均で月14万7千円程度、自営業者が加入している国民年金は平均で月5万4千円程度で、厚生年金のほうが国民年金より一般的に多くなります。
厚生年金保険は、原則として、株式会社などの法人、それから常時5人以上の従業員を使用する事業所で使用されている70歳未満の人(正社員や一定のパート労働者等)は、加入させなければいけないことになっています。
(要件の詳細や例外については、複雑で長くなるので、ここでは書かないことにします)
しかし、法人であったり、常時5人以上の従業員を使用する事業所であっても、厚生年金に加入していないところがあります。
厚生労働省の2015年12月の報告では、国民年金加入者1742万人のうち、約200万人の人が厚生年金に入る資格があるとのことでした。
しかも、200万人のうち約6割を20代から30代の若い人で占めている(20代が71万人、30代が52万人)のだそうです。
つまり、若い方で厚生年金に加入できるのに、加入していない実態があるということです。
若い世代の将来の生活の不安を少しでも減らすためにも、私的年金よりもはるかに好条件である厚生年金保険制度を適正に加入させるすべきだと思います。
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しかしながら、事業主が保険料負担を逃れるために会社が加入の申請をしていないのか、厚生年金についての知識がないのか、それとも働いている人が給料からの保険料天引きを望んでいないのか、その実態は明確ではありません。
ですから、厚生労働省では、日本年金機構が2017年度末までに、厚生年金の加入可能性のある事業所の実態を調査する方針を決めたそうです。
その際、調査を繰り返し協力を求めても応じなかったり、厚生年金保険への加入逃れをする「特に悪質な使用者」には刑事告発も検討しているようです。
刑事告発は、あくまで指導を徹底するための最終手段としての位置づけで、
その告発に踏み切るかどうかの基準も検討していることを、塩崎厚生労働大臣も述べています。
しかし、厚生年金保険や健康保険等の社会保険の保険料の負担は決して軽くありません。中小零細企業のなかには、その負担に耐えられないところもあると思います。
そのような事業所には、性急な措置ではなく、段階的に粘り強く指導を続けていくことになると思います。
ただ、若く働き盛り世代の人たちに将来の安心を与え、結果として安定した雇用となり、継続的な事業の継続的な発展を期待するのなら、厚生年金制度の適正な運用をすることは、長期的に見て会社にとってメリットになることと思います。
女性活躍の土台
本格的に雪が降ってしまいました。
出かけるのは大変です・・お気を付けください。
降った後も大変ですし・・・
ところで、台湾で初の女性総統が誕生しました。
女性が元首(大統領など)となっている国は、他にも韓国、ドイツ、ブラジル、ネパール、チリ、中央アフリカやクロアチア(その他数か国)などがあります。
もしかしたら、アメリカでも女性大統領が選出されるかもしれません。
今、世界では女性活躍の時代になってきたことがはっきりしてきました。
日本でも、スポーツ、芸術や経営等の各分野での女性の活躍が、数多く見られます。
政府や近年の厚生労働省の施策でも、女性の活躍に向けた方針を明確にしています。
しかし日本の実態は、
非正規労働者の問題、待機児童の問題、労働環境の問題、介護の問題・・・様々な障害があり、仕事だけでなく、「仕事外」での女性の負荷が、相変わらず大きいかおしれません。
少子化対策の問題なども、社会全体で支える仕組みがしっかり作り上げないと、女性がもっともっと活躍できる社会にならないと思います。
そこで、女性の労働の現実を表しているデータが何かないか、少し調べてみました。
厚生労働省で、平成27年12月9日に発表した政府統計で、
「第3回21世紀成年者縦断調査(平成24年成年者)及び第13回21世紀成年者縦断調査(平成14年成年者)の結果」という調査データがありました。
これは、20歳から30歳半ばの全国の男女(および配偶者)を対象として、仕事の有無、業種形態、出産後の就業意欲、家事・育児時間、職業観などを継続的に調査して、
少子化対策などの厚生労働行政施策に役立てることを目的としているそうです。
この調査結果のポイントとしては、
「女性が結婚後に離職した割合」は、平成14年調査では31.0%でしたが、
平成24年では20.4%と減少しました。
やはり、家計が以前よりも厳しくなっているからなのでしょうか?
ちなみに、仕事をする理由として、最も多かったのは女性も男性も「生計を維持するため」でした。次に多い理由は「家計に余裕を持つため」でしたが、やはり、少しでも豊かに生活するためや、将来への備えではないかと考えられます。
また、出産後も仕事を続ける女性が増え、「出産した後も現在の仕事を続ける」と回答した妻は、正規労働者で非正規労働者でも約8割が同一就業を継続しています。
意欲がある人もいると思いますが、せざるを得ない環境の方もいるのではないかと思われます。
それから、夫の協力も影響するようです。
「夫の平日の家事・育児時間」が長いほど、出産後の妻の同一就業継続の割合が高い傾向があります。
国が「イクメン」を推進している理由が分かります。
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やはり女性の活躍のためには、経済環境、社会の仕組みや家族の在り方も、もっと変えていかないと、世界に追いついていけないかもしれません。